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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第三話
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笑んで手を振ってきている……。

 くそぅ! ひとまずギルドだ! ギルドに駆け込んで【セレーネ・ファミリア】の情報を聞こう! ファミリアのメンバーが他のファミリアについて詮索するのはご法度だけど、自分のファミリアについて尋ねるのは全く問題ない! 一見すると間抜けに見えるけど詮方ない! 早速行くぞ!



「そのファミリアはもうありませんよ?」

 なん……だと……? 目の前のエルフのお姉さんが紡ぐ言葉がまるで悪夢のようだ……。いや、悪夢であってほしかった。しかし、もうずいぶん前に確かめたことに、ここは現実。ギルドの冒険者アドバイザー─クレアの時代には無かったサービスだ─たる彼女が嘘を言う訳ないし……。一体全体何がどうなってしまったんだ……。

 形容しがたい感情に身を震わせていると、アドバイザーは柔和な線で縁取られた宝石のような瞳を巡らせた。

「ちなみにキミ、そのファミリアがどんなファミリアか知ってるの?」

 はい。私クレア・パールスとセレーネ様だけで構成された家族です。
 即答してやりたかったが、くどいが今の体はレイナ・シュワルツ。魂が一緒でも他人から見れば別人なのだ。私もいきなり昔の偉人の名前を名乗るただの子供を見れば、憧れた子なのかなぁとあしらう。

 このアドバイザーに【セレーネ・ファミリア】の色々なことを小九時間ほど語って聞かせてやりたいが、ぐっと堪えて解らないと返す。ぐっ、たったこれだけなのに胸を抉られた気分だ……。ごめんなさい、セレーネ様。この親不孝をお許し下さい……。
 
 人知れず打ちひがれる私に首を傾げながら丁寧に解説してくれた。まあ間違ってない。若干の誇張があった気もするけど的は完璧に得ている。アドバイザーさんすごい。
 セレーネ様の名声に感激しながら耳を傾けていると、最後にとんでもないことを言い放った。

「クレア様が亡くなってから十年後、セレーネ様は突如姿を消したのよ」
「……は?」

 思わず威圧的な語調になったのは仕方ないことだろう。何? 突如姿を消した? セレーネ様が?
 私の怪訝な目線を受けて当惑するようにほっそりとした顎に手を添えて続けた。

「原因は全く不明。神様たちに伺っても知らないの一点張り。何かしらの裏工作があったと思うけど──」
「セレーネ様はどこ!?」
「え!? あ、あの」
「今セレーネ様はどこなの!? 安全なの!? 幸せなの!?」

 ギルド窓口から唐突に迸った私の絶叫に、ロビーを行きかっていた人たちが全員驚いて振り向いた。その視線に晒される目の前のアドバイザーは怒涛の詰め寄りに言葉を失って困惑顔で固まっている。
 時間が凍結した中、私が乗り出した身を引っ込めるとガヤガヤと周りから喧騒が蘇る。

『セレーネ様だと? まだそんなこと言
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