第二話
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夢を見た。たぶん。クレア・パールスの人生を終えた私は、幽体離脱と言うべき現象にあいまみえた。
臨終を迎えた瞬間、私の意識だけがクレア・パールスの体から抜け出たのだ。音は聞こえないし、手足の感覚も無い。ただ、漠然とそこに私の意識が浮遊した。
いつまでもクレア・パールスの手に縋りついて泣き続けるセレーネ様の姿は、見ている側としても胸を締め付けられる思いだった。
セレーネ様に寄り添って、自分は傍にいるということを教えたかった。だけど、私の意識は無情にも、上から吸い上げられる力に成されるがままに離れていった。
そこで一端意識がぶつりと途絶えた。そして、ふと気が付けば私の意識は何かに押し込まれた。名状に尽くしがたい瞬間だったけど、私の知っている表現ではこれが限界だ。
ひとまず今の不思議体験の原因は生前のクレア・パールスが習得していたスキル【転生】によるものだと予想がつく。特にスキルを発動させようと気構えたわけでもなく、ただ息を引き取ったと同時に勝手に発動したのだろう。
目覚めると、黒髪の若い女性が私をのぞき込んできた。はっとするほど美人で、思わず振り返ってしまうくらいの美しさだ。
(誰だろう)
隣には、同じく歳若い茶髪の男性がいて、ぎこちない笑みを私に向ける。半そでの服から見える腕は筋肉隆々で腕っ節の良さそうな印象を受けるが、決して乱暴そうに見えないのは、彼が湛える瞳の光が柔和なものだからかな。
「あー、うあぁ」
体を起こして、ここはどこであなた方は誰ですか、と尋ねようとしたけど、口から出てきたのは呻き声とも喘ぎ声とも言えないものだった。
体も思うように動かせない。指先とか腕は動くんだけど上半身が起こせない。
一体全体どうなってるんだろ……。そう思った矢先に男性がぎこちない笑みだけれども嬉しさ全開と解るくらい高潮して私を抱き上げた。
うわっ、凄いあっさり持ち上げられちゃった。そんなに私って軽かったかしら? これはセレーネ様に妬まれてしまいそう。
なんてバカなことを思ったけど、さすがのノロマの私でも現状を薄々掴めてきた。
私、生まれ変わったんだね……。
◆
いやぁ、さすがに驚いたね。【転生】が発現してからあれこれと想像を張り巡らせていたけど、いざってなるとこの事実が飲み込みにくい。
スキルが発現したとき、セレーネ様が私の中に含蓄された経験値を数値化して神聖文字に置換、それから私たちにもわかる共通語に翻訳して教えてくれる。だから純粋な経験値を肌で感じ取れるセレーネ様はこのスキルの詳細を読み取って教えてくれた。
『名前の通り、死んでしまって抜け出た自分の魂を、どこかで生まれる赤ちゃんに注入するみたいだね。うーん、これ以上は
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