空白期 中学編 Final 「夢に向かって」
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1日になるのではないだろうか。
「……そうだな。残り1年……今日はお前の行きたいところ全部付き合ってやるよ」
「ええの? ショウくんにも行きたいところとかあるんやない?」
「あのな、お前と俺の付き合いの長さを考えろよ。お前の行きたいところは総じて俺にとっても行きたいところなんだよ」
他人に聞かれると誤解されないが、今は俺とはやてのふたりっきりだ。誤解が起こることはありえない。
はやては「じゃあ遠慮なく」と笑うと、ほんの少しだけ歩く速度を速めた。彼女と出会ったのが小学1年のときだ。それを考えると見て回りたい場所が多いのは当然だろう。俺は何も言わずに彼女の速度に合わせた。
まず最初に向かったのは、俺とはやてが出会った場所である図書館だ。確か必死に本を取ろうとするはやてを見かけた俺が、彼女の代わりに本を取ったのが始まりだったはずだ。
こちらとしては別に仲良くなりたいと思ってやった行動ではなかったのだが、その日から会うたびに話しかけてきたはやてに根負けして話すようになったんだっけ。今にして思うと良い思い出というか、今俺がこうしていられる最大の理由かもしれない。
その後、俺ははやてに連れられて彼女が世話になっていた病院。足が完治してから一緒に出かけたショッピングモールやプール、遊園地といった施設を見て回った。
プールのときなどは危うく例の一件を思い出しそうになってしまい、はやてに怒られそうになったものの、最後には笑ってくれていた。
楽しい時間というものはあっという間に過ぎるもので、日もずいぶんと傾いてきた。おそらく次の場所で最後だろう。
「次あたりで終わりだな。どこに行く?」
「それはもう決めてる」
「どこだよ?」
「それは着いてからのお楽しみや」
ここで隠す必要があるのだろうかと思いもするが、まあこの街のことなのだ。向かっているうちに予想できるだろう。
そう思った俺は文句を言ったりせず、先に歩き始めるはやての後を追い始める。ここまでの時間で大分話していたせいか、俺とはやては互いに言葉を発しなかった。はやてと一緒に居て無言の時間というのは、限りなく珍しいことではないだろうか。
「…………ここは」
はやてに連れられて来たのは、かつて雪が舞い散っていた夜に俺がある決意をした場所だった。彼女にとっても大切な人との別れをした場所でもある。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫……あの子は今でもわたしの中で生きとるし、ここはわたしにとって大切な場所や。あの日のことを鮮明に思い出させてくれて、わたしの進みたい道をはっきりさせてくれる」
かつて消えて行った彼女に想いを馳せるようにはやては空を見上げている。
確かにあの日は悲しい出来事があった。だがはやてにとって、本格的に魔法というものに関わっ
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