精神の奥底
43 現れたメシア
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「ちょ!博士、何してるんすか!?一緒に出口探して下さいよ!」
笹塚はシドウとほぼ同じタイミングでその奇行を発見した。
マヤもリサも何とかシドウだけでも逃がそうと必死な状況だというのに、1人だけ全く違うことをしている。
だがシドウも笹塚もヨイリーが天才故に常人の自分たちの理解の及ばない行動をすることがあるのは分かっていたが、何かしらの意味があるということも知っていた。
実際にヨイリーは次の瞬間、電子キーのようなものを見つけるとそれをシドウに投げ渡した。
「これは?」
「よく聞いて!出口はいくら探そうとあのドアだけよ!私たちで何とか隙を作るから、ここを抜けだしたら、この研究棟の地下1階の1番倉庫に行って!!」
「隙を作る!?何する気ですか!?」
「うっわぁ…今、私たちって言いました!?言いましたよね!?」
ヨイリーの一言で引っかかるところがあり、笹塚は驚き、リサとマヤも一斉に顔を上げた。
「あぁ…私らの輝かしいキャリアもジ・エンドか…笹塚と違って」
「ちょ!オレだって一応、サテラポリスのキャリアコースを!」
「歩んでるエリートだって、合コンで女の子に言いふらしてるんでしょう?」
「大丈夫よ、みんなの手を借りる局面にはならないように努力する。もし私が失敗したら、手を貸して」
「皆さん、あと10秒です…」
シドウはヨイリーの策に賭けることにした。
皆が潔くお茶が注がれた湯呑みを手に取り、勤務時間後の談話中のような雰囲気を作り出す。
だがシドウは可能な限りドアから出やすい位置に立ち、ヨイリーもトランサーを腕に装着して隙を作る準備をするなど抜け目はない。
一度、大きく深呼吸をする。
そして次の瞬間、ドアが開いた。
「動くな!!容疑者の諸君!!」
「口が動かなかったら喋れないぜ?」
勢い良く部下とともに研究室に入ってきた木場にマヤは冷ややかな視線と言葉を浴びせた。
リサや笹塚は呆れたような態度を取りつつ、湯呑みで茶を啜った。
すると木場はテーブルの上に乗っているハードディスクを手に取る。
「君たちは覗いてはいけないものを見てしまったようだ…国家の敵となった君らは社会から抹殺しなくてはならない」
「残念ながら妨害電波で帯磁してしまっていて中を見ることはできませんでした。疑うなら調べて下さい。いくら調べても破損ファイルの山で修復のしようがありません」
「社会から抹殺とは穏やかでないっすね。もし僕らがこれを録音して外部に流してたら、キャリア街道脱落になっちゃいますよ?」
「チッ!ガキ共、そうやってられんのも今回だけだぞ。おい!」
木場は舌打ちし、小馬鹿にしたような態度をとる3人を威嚇すると背後にいた部下に指示を与える。
その瞬間がチャンスだと思った。
ヨイリーは後ろで手を組み
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