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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
43 現れたメシア
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庫に…」

自分の記憶と食い違い、ヨイリーは困惑している。
いくら年老いたとはいえ、世界有数の天才科学者の頭脳は健在だ。
ボケているわけではない。
だが次の瞬間、リサのPCからアラート音が鳴り響いた。

「!?びっくりした!!何に起こったんっすか!?」

「待って下さい…大変です!木場と捜査官数人がここに向かってます!!」

「チッ、思ったより早かったな…」

少なくとも国家の機密の一部に触れたこの場にいる者たちはWAXAの課長の皮を被った警察側のスパイからすれば邪魔者以外の何者でもない。
皆が知ることではなく一部の人間だけが知っているともなれば、好都合とばかりに口封じにかかるだろう。
この男はそういうタイプの人間だ。
だがシドウはここで捕まるわけにはいかなかった。
ここで捕まれば、スターダストにパッチを届けることができなくなる上、木場主導の現在の捜査体制では確実に事件が解決することができないのは明らかだったからだ。

「店じまいの時間だ…」
「隠せ!!テーブルの上のストレージも資料も全部隠せ!!」

マヤが叫んだ瞬間、全員が一斉に動き出した。
シドウはプリントしてあった資料を研究室の端のシュレッダーに突っ込み、笹塚は学校地下から持ってきたハードディスクをあたふたした様子でヨイリーのタワー型デスクトップの箱の空きスペースに隠す。
リサはPCに表示させていたデータを全て終了させ、防犯システムのコンソールをいつでも終了できる体勢で待機し、マヤとヨイリーは人数分の湯呑みを用意してお茶を注いでいく。
まるで階段を登ってくる母親の足音に漫画を読んでいた子供が宿題をやっていたかのように偽装するくらいの焦りようだったが、確実にそれを遥かに超えるクオリティの偽装工作だった。
勤務時間が終わり、皆でお茶をしている光景に早変わりだ。

「ばあちゃん、劣化して読み取れなくなったハードディスクとかあるか!?」
「そこのガラクタ箱の中」
「クッソ!博士、出口はあのドアだけか!?」
「研究室だもの!機密が盗まれる可能性を考えれば、出口をいくつも作ったりなんてしてないわ!」
「今出てったら確実に鉢合わせする…」
「空調ダクトは!?」
「狭すぎる!無理だ!!」
「窓!」
「ここを何階だと思ってるんだ!オレを殺す気か!?」
「電波変換!」
「体が持たない…無理!!」

「あと約30秒!!」

証拠が隠滅できてもシドウだけは命令違反で捕まる可能性が高いのだ。
だとすれば、その前に何としてでも逃げなければならない。
何処かに出口は無いかとシドウの目は事件が起こった時に勝るとも劣らない程の速度で部屋中のありとあらゆるものを捉えていく。
だがそんな中、ヨイリーは自分のデスクの引き出しから何かを探していた。


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