精神の奥底
43 現れたメシア
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のような気がした。
更にもう1つ、今度はリサも同時に昔会った少年の顔が不意に脳裏に浮かんできていた。
「でもその提案に乗ったことで、返ってきた見返りは相当大きなものでした。人質を見殺しにしても構わない制圧だけを優先した作戦だったにも関わらず、人質は1人が負傷した以外は全員無事、それに負傷した生徒も命には別状が無かった。Valkyrieの傭兵たちの他、SWATの裏切り者も全て制圧、WAXAの人間は負傷者は多数ですが、死んだ者はいません」
「…言われてみれば…それもそうっすね」
「もし木場の作戦に従っていれば…人質は皆殺し、隊員たちの中にも死傷者は多数出た上、SWAT…警察内部にValkyrieに懐柔された裏切り者がいたことも闇の中だったかもしれない。それに彼は高垣の持っていたValkyrieの計画が詰まった端末を提供してくれた。もしこれが無ければ、Valkyrieの狙いも計画も未だに分からずじまいのままでした」
「完全に敵と割り切ることができないってわけね…もし完全にディーラーの手先として現れたなら、生徒たちを助けたりしないだろうし…」
「…彼は味方ではないでしょう。でもディーラーに育てられたというだけで根っからの悪人というわけでもディーラーの手先というわけでもなく…勘ですが、ディーラーとValkyrieがぶつかっているのは間違いないにしろ、今回の事は恐らく彼個人で動いている可能性が」
シドウは頭を抱える。
この勘が正しいならWAXAとValkyrie、そしてディーラーの他にそれから派生したもう1つの勢力が存在している
敵の計画は明らかになったというのに状況は休むことなく複雑化を続けているのだ。
一刻も早く全容を解明しなければ、もはや手に追えるものではなくなってしまうのは間違いない。
「そういえば博士、さっき言ってた条件ってなんすか?」
「そうだったわね。これをスターダスト…シンクロナイザーに渡して欲しい」
「これは?」
ヨイリーはポケットから1枚のデータカードをテーブルの上に置いた。
最近ではトランサーやPET、PC、ゲーム機、ポータブルメディアプレーヤーなどで幅広く使われているもので銀色のカードに「FU Ver.Z3」というラベルが貼ってある。
「スターダストの修正パッチよ。バージョンはZ3…ほぼ完成系よ」
「…やっぱり完成させてたんですね、博士」
「なるほどこれをオレがスターダストのもとへ届ける。でもシステムから無理やりにでも切り離した方がいいんじゃないですか?」
シドウは日常的に見ている一見何の変哲もないデータカードにも関わらず必要以上に慎重にポケットに入れた。
「恐らくシステム自体が彼を正規資格者としてイニシャライズしている以上、何度切り離してもトラッシュはあの子に付き纏う可能性があ
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