精神の奥底
43 現れたメシア
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はシドウが『シンクロナイザー』と口にしたのを聞き逃さなかった。
何かの名詞なのは確かだが、ここまで一度も出てこなかった名前であり、この文脈だと「スターダストから切り離さなければならない人間」、「スターダストになっている人間」を意味していると考えるのが普通だ。
「やっぱりシドウちゃんは知ってたのね、スターダストの正体」
「おい、どういうことだよ?」
「アカツキさん?」
「ちょ…どういうことっすか!?」
「……」
誰から見てもシドウの顔色が変わったのは目に見えた。
あからさまに「しまった」とでも言いそうな表情で全員から目を逸らしている。
「ディーラーがかつてロキの子を人工的に生み出す研究をしていたという噂は聞いたことがあったわ。個人としてのトラッシュとのシンクロ率が低くても、スターダストに電波変換するには電波体との融合に適した体質であるのは最低条件。ロキの子が比較的多く集まっているおり、そしてデータバンクに載っていない人間ともなれば、その中でトラッシュとのシンクロ率が比較的高い人間がいてもおかしくないわ」
「…えぇ。確かに、さっきの現場でスターダストはオレに正体を明かし、協力をするように提案してきました」
シドウは観念したように口を開いた。
ここで口を開くことは、かつて裏切ってしまった彩斗を再び裏切ることになると、心の何処かで躊躇う気持ちはあった。
だが彩斗はディーラーに育てられたというだけで悪人ではない。
事実を語りながらも、ディーラーと彩斗を同じく悪に染まった存在であると強調しないように必死に頭を回転させていく。
「一体誰なの?」
「オレにも詳しいことは分かりません。ただ彼はディーラーの中では『シンクロナイザー』という名前で呼ばれ、意識をインターネット上に投影できる程に高いシンクロ能力を持っていました。年齢は恐らく10歳から13歳程度で、外見も…恐らく男ですが、女ともとれる容姿で…本来の素性も知っているのはディーラー内でもごく一部です」
「男とも女ともとれる容…?」
「…詳しい詳細は分からずか…」
「じゃあ彼の提案っていうのは?」
「Valkyrieに囚われていたディーラー側の人質をオレにグラウンドまで運ばせ、彼は人質の生徒たちを救い出す」
「おいおい!じゃあ、計画を無視して敵か味方か分からない奴に協力したっていうのか!?」
これがシドウが別行動を取った理由だったと知り、マヤは驚き、そして呆れる。
だが不思議と怒る気にはならなかった。
本来なら死んでもおかしくない作戦だったにも関わらず、その提案に乗ったことでシドウは無事に帰ってきたのだ。
そして同時にシドウの説明で一箇所引っ掛かっていた。
「男とも女ともとれる容姿」、すなわち中性的な容姿に近い物事を最近、どこかで聞いたばかり
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