精神の奥底
43 現れたメシア
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平和が保たれるのさ」
「利益を追求?ハッ、世の中全体の利益じゃなく、アンタだけの利益の間違いだろうが!!」
「それに…えっと…新課長?私は専門は全く違うけど、それは経済学の考えの1つで平等であることを重んじる法律を司る立場の人間が自信満々に掲げるものではないのではなくて?」
「フン!黙りたまえ!!このボケ老人!!もう年金も学会もキサマのような老いぼれを必要としていないんだ!!」
「ハイハイ、老いぼれは黙りますとも」
じわじわと言葉で反撃しているものも、状況的には最悪だ。
頼みの綱であったヨイリーの動きが封じられ、シドウも自身を上回る体格の隊員に囲まれている。
数秒後には手錠を掛けられるのは想像するまでもない。
「…どうしましょう、リサさん、マヤさん」
小声で笹塚が2人に声を掛ける。
だが反面、隊員たちや木場の意識はシドウとヨイリーに集中していた。
リサやマヤ、そして笹塚への注意はほぼ無いと言っていい。
リサは一度、目を瞑り、自分の一番尊敬する人物の顔を頭に思い浮かべる。
まで小さかった頃に見た『ヒーロー』の姿、シドウの話に出てきた少年と同じく中性的な容姿をした自分とマヤの恩人『双葉ツカサ』の顔を。
「…ッ!」
リサはこっそり持ってきていたベレッタM92の入った腰のホルスターに手を伸ばす。
ここで自分が木場に銃を向ければ、その部下は一時的とはいえ、シドウから離れるように命令を聞くしかない。
だがシドウをも上回る体格の隊員、それも従軍経験のある人間である以上、リサを御すことは容易だ。
あくまでシドウが逃げるチャンスは僅か数秒しかない。
しかし自分が犠牲になろうと実行しなくては、ますます事態が悪化するのは避けられなかった。
リサは覚悟を決め、ベレッタを一気に引き抜いた。
「ッ!え!?」
だが次の瞬間、その手は抑えられた上、銃を奪われた。
後ろに隊員は誰もいなかった。
いくら分析官であってもそれくらいの注意力はある。
リサは困惑し頭の中が真っ白になった。
しかし呆気無くその答えはコンマ数秒後に目に飛び込んできた。
「!?おい!キサマ!!何の真似だ!?やめろぉ!!」
「うるっせえ!!お前がこんな無能じゃなきゃ、こんなことせずとも済んだんだよ!!!」
リサから銃を奪った張本人、それは木場の部下ではなかった。
自分の癖や行動・思考パターンを自分と同じくらいに知っている人間、双子の妹のマヤ・ホープスタウン分析官だった。
マヤは木場に銃を向け、子供とは思えない程の剣幕で木場に怒鳴りつけると、シドウを取り囲む隊員たちの方を向いた。
「おい!!課長の頭吹っ飛ばされたくなかったらアカツキから離れて跪けぇぇ!!!」
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