後日談の幕開け
三 変異
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上がり、口が裂け。怪物の上げた叫び声に応じるかのように変質していくその姿。それは。回り、咀嚼音を響かせ迫る。グールのそれに他ならず。
幾ら、グール達を倒しても。あの怪物が居れば、今まで餌となっていた。それ等までもが牙を向ける。なら。
「あいつの所に――」
踏み出そうとする。私の前に躍り出る、二体のグール。半ば突進するように迫る人型の怪物、緑色の輝き。アリスによる、触れること無く肉を抉る――ESPによる攻撃にさえ怯まず襲い来る牙。肉を抉られたそれを何とかいなせど、もう一体。その牙を腕に受け。見れば、他のグールは。アリスとリティ、二人の元へと移動していて。
怯んでいる暇など無い。獣の足に力を込め、グール、引き剥がすように蹴り飛ばし。勢いもそのままに、怪物の元へと駆け。向かい来る私へとその長い腕、繋がれた刃、名状し難い形状のそれを振り被り。
腕は。頭、身体、守るように小さく。半ば倒れ、飛び込むように。汚れた床に片手を着けば、髪先を浚う刃、風を首筋に感じ。掠めたそれ、数センチの差、恐怖が湧き上がるより先に。
着いた腕にありったけの力を込め。刃を振り切ったままよろめくそれへと飛びかかり――
「――っ!?」
身体の奥。また。蠢く何かの鼓動を感じて。私の体。私の体である筈なのに。違和感、不快感、何故、こんな、何を。
私を作った誰かは。
私に。何をした――
「――ぁ、ああ、あああああああああッ!」
爪を。目一杯の力、震える腕。その先に備え付けられた……それも、それも。私を作った誰かによって埋め込まれた。それで。
貫き。握り切り潰し穿ち断ち力任せに強引に。引き千切っては裂いて、裂いて、裂いて。
「ああ、ああ、ああ! ぁ――」
裂いた。私の。私は。自分の身体、傷、伸びた影を。影を見て。
思わず零した言葉は、否。言葉とも言えない。目の前のそれを理解出来ず。理解したくなく。何の意味も待たずに零れ落ちたそれに過ぎず。
「何、何、これ、私、何なの……」
私の体を裂き現れたそれ等は。淡い光を受けて鈍く輝き。口を、牙を持って蠢き。眼前、私が爪を立て切り裂いた、その肉、怪物へ、喰らい付いていて。今も、こうして、立ち尽くす私を置き去りに。身体からは、無数の。黒くうねる、肉蛇の群――――
◇◇◇◇◇◇
マトの絶叫に我に返る。
私達へと迫り来るグール、彼等へと向けた銃口、小刻みに震えながらも引いた引き金。撃ち出した銃弾が食屍鬼の身体を撃ち貫いた、その時に響いた声。身体が跳ね、視線を向ければ。
其処に居るのは。黒い何か、無数の、蟲とも蛇ともつかないそれに埋もれ、叫ぶ、彼女の姿で。
「マト……!?」
彼女が、無数の怪物に捕
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