2部分:第二章
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第二章
そこにいたのは彼女だけだった。清子はまだいない。胸を押さえながら死にそうな顔で清子を待っているのだった。
「そろそろかしら」
その中でふと呟くのだった。
「来るのは・・・・・・あっ」
呟いてからすぐだった。向こう側からその清子が姿を現わした。音もなく静かに彼女の前にやって来たのだった。まるで風の様に。
「もう来ていたのね」
「え、ええ」
清子の言葉に頷く。だがその顔はもう真っ赤だ。
「そうだったのよ。早く来過ぎて」
「どうしてなの?」
「どうしても。気が逸って」
それを抑えきれなかったのだ。彼女自身が言うようにどうしてもだ。
「それでだったのよ」
「そうだったの」
彼女の言葉を聞いて応えるのだった。
「それでなのね」
「ええ。それでね」
あらためて清子に対して言ってきた。その顔を真っ赤にさせたまま。
「同じ女の子に対して言うのは何だけれど」
「どうしたの?」
「好きって言ったら駄目かしら」
清子を見詰めて問う。
「それは。こんなのって」
「そうね」
ここで清子は。じっと彼女の顔を見るのだった。特にその目を。
「答えはね」
「ええ。答えは」
「・・・・・・来て」
こう言うのだった。
「私のところに」
「私のところに」
その言葉が虚ろなものになっていた。顔もまた。人形の様になってきていた。
「来るのよ。それが答えよ」
「・・・・・・わかったわ」
清子の言葉に頷くのだった。言葉だけで。見ればその目の光が消えていた。それまで眩く輝いていたのが消えて。やはり人形のそれに近くなっていた。
「それじゃあ」
清子に自分から歩み寄る。しかしその足の動きもまた虚ろなものだった。その虚ろな足の動きで自分のところに来た彼女の両肩を両手で抱き止めて。それから姿を消したのだった。
翌日彼女は自分の教室でクラスメイト達と話していた。前に清子のことを話した面々だ。
「それであんた」
その中の一人が彼女に声をかけてきた。
「昨日はどうだったの?」
「どうだったのって?」
「だから。姉小路さんのことよ」
「どうなったのよ」
それを彼女に対して聞くのだった。皆で。
「告白したんでしょ?」
「それでどうなったのよ」
「あ、ああ」
それを聞いて思い出したように声をあげるのだった。
「そうだったわね」
「そうだったのって」
「それでどうしたの?」
「したわ」
こう言うが何故かその首を少し捻るのだった。
「体育館裏でね。それはね」
「したのね」
「ええ」
一応は答える。
「けれど」
「けれど。どうしたのよ」
「何があったの?」
「覚えてないの」
答えはこうであった。
「気付いたら家のベッドの中にいて。お母さんも昨日は遅かっ
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