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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 ワルキューレの審判
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上体は起き上がっている、重心は踵! 素早い動きは出来ない、如何する?

ヴァレンシュタインの身体が沈んだ! 頭上をローエングラム侯のドルヒが走り抜ける、髪の毛が何本か切られ巻き上がった。ヴァレンシュタインが足を飛ばす! ローエングラム侯の前足を蹴った! 重心を崩されローエングラム侯が倒れ込む! 二人の身体が重なって床に、そして大量の血が噴き出す、“ヴァレンシュタイン!”、エルウィン・ヨーゼフ二世の悲鳴が、そして倒れ込んだ二人から咳き込む音と呻き声が上がった……。

「終わったようだな」
「ええ」
あの出血では助からない……。
「行くか」
オフレッサーが歩き出した、俺とエルウィン・ヨーゼフ二世が後に続く。他の人間、フェルナー、クレメンツ、ファーレンハイト、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビッテンフェルトも倒れ込む二人に近付いて来た。

重心を崩され倒れ込んだローエングラム侯はドルヒでヴァレンシュタインの左胸、心臓を刺そうとした。ヴァレンシュタインは倒れ込んでくるローエングラム侯の頸を狙った。普通、相手の足を蹴る時は重心の乗った前足を払う様に蹴る。相手を横に倒すのだ。そして倒れた相手の上に圧し掛かって攻撃する。だがヴァレンシュタインは前に踏み込むように倒れ向う脛を押す様に蹴った。あれでは自分の正面に倒れ込んでくる。確実に斃す為に相打ちを狙ったのだろう。

二人の周りに皆が集まった。出血が酷い、二人を中心に血が滾々と流れ出ている。オフレッサーがローエングラム侯の身体を引き離してヴァレンシュタインの横に並べた。ローエングラム侯の眼は開いているが生気は無い、頸動脈が切り裂かれていた。動かした所為だろう、血が溢れだした。ロイエンタール提督が一つ息を吐く。ミッターマイヤー大将、ビッテンフェルト提督も痛ましそうな表情をしている。

「生きていたか」
オフレッサーの問いにヴァレンシュタインが頷いた。顔面はローエングラム侯の血で真っ赤だ。
「声は出せるか」
「……ええ」
細い声だった、少し掠れている。フェルナー達がホッとした様な表情を見せた。
「立てるか?」
首を横に振った。

「右膝を痛めました、ローエングラム侯が倒れ掛かって来た時に痛めたようです」
「無茶をするからだ、ドルヒを離したら如何だ」
ヴァレンシュタインが困ったような表情を見せた。
「離れないんです。指が動かない」
フェルナー少将が屈むとドルヒから指を一本ずつ離していく。随分と力を入れている、余程に強張っているらしい。

「軍医を呼ぼう、膝とその腕の手当てをしなければならん。胸にも刺さっているか?」
「ええ、少し刺さりましたが掠り傷です、手当はスクルドでします。このままで」
ローエングラム侯のドルヒはヴァレンシュタインの心臓を狙ったがヴァレンシュタイン
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