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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 ワルキューレの審判
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楽しいな、ローエングラム侯」
「ああ、楽しい。なかなかやるな、ヴァレンシュタイン」
「喜んで貰えて幸いだ。練習した甲斐が有った。続けようか」
二人がまた腰を下ろし艦橋に緊張が戻った。練習か、一人自室でドルヒを振るったか。止める等論外だ、あの三人も分かっただろう……。
「狙いは良かった。フェイントでヴァレンシュタインの右腕は完全に左に振られていた。単純に頸動脈を狙うのではなく右上腕部を切り裂きつつ頸動脈を断とうとしたようだ。或いは偶然腕を切ったか……」
なるほど、ヴァレンシュタインの右上腕はワイシャツが切り裂かれている様だ。先程の攻防で切られたか。もっとも血痕は見えないから傷は無いか有っても掠り傷だろう。偶然かもしれんな。
「だが躱された、間一髪だった。腕を切られた痛みから自然と身体が左にずれたのかもしれん。だとすればあとほんの数ミリ刃がずれていれば勝負は決まった可能性も有る、惜しい事だ」
それが事実なら血も出ない様な掠り傷がヴァレンシュタインを助けた事になる。
「……運が無いと思いますか」
「さて……」
オフレッサーが俺を見たが直ぐ視線を二人に戻した。
「ローエングラム侯はそのまま腕を戻しながら頸動脈を薙ごうとしたのだがヴァレンシュタインが侯の上腕を押さえるのが僅かに早かった。左にずれたのが良かったな。そうでなければそこで勝負はついていたはずだ。だがヴァレンシュタインが侯の腕を押さえた事でローエングラム侯の右腕が死んだ」
「……」
「惜しかった。あそこは腕を押さえるのではなく後方へ押し上げるべきだった。そうすればローエングラム侯はバランスを崩した筈だ、そのまま足を掛ければ倒す事も出来た、勝負はそこで付いただろう。ヴァレンシュタインの方が背は低い、押し上げるのはそれほど難しくなかったはずだが……」
「侯が逃げるのが早かったという可能性は?」
オフレッサーが僅かに眉を顰めた。
「……かもしれんな。しかし俺には押さえただけのように見えた」
背が低いというのも欠点とは一概に言えない。場合によっては利点になる。ローエングラム侯だけではない、ヴァレンシュタインもミスを犯したか。
ローエングラム侯が時計回りに動く、ヴァレンシュタインも同じ動きをする。二人の位置が丁度逆転し止まった。今度はヴァレンシュタインが右手を前後に動かしてフェイントを入れ始めた。一つ、二つと入れながら距離を詰める。そしてローエングラム侯がじっと待つ。
攻守が入れ替わった、そう思った時だった。ローエングラム侯が動いた。予備動作無しの突き! 踏み込みが鋭い! 狙いは顔面! ヴァレンシュタインが仰け反りながらドルヒで防ぐ、硬い金属音が響いた。良く防いだ! だが未だ後が有る。ローエングラム侯が弾かれたドルヒで頸動脈を狙う! ヴァレンシュタインの
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