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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 ワルキューレの審判
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でケリをつければ良い。私を殺せばもうこの世に思い残す事は有るまい、違うかな?」
ローエングラム侯が微かに苦笑を浮かべた。侯の眼には先程まで有った憎しみの色は無かった。穏やかな眼をしている。
「そうだな。……ヤン・ウェンリーと決着を付けたいと思ったが……」
「残念だが侯ではあの男には勝てない。私が保証する」
にべもない言葉だ、侯の苦笑が大きくなった。
「そうか、では心置きなく卿と戦う事が出来るな」
ローエングラム侯が片手にドルヒを持ったまま器用に上着を脱いだ。白のマントと黒の上着が床に落ちた、金の肩章が煌めく。白と黒と金、不思議なほど華やかに見えた。
「ヴァレンシュタイン」
エルウィン・ヨーゼフ二世が声をかけるとヴァレンシュタインが少し困ったような表情を見せた。
「予が頼んでも戦うのを止めぬのか?」
ヴァレンシュタインが一礼した。
「陛下の御働きで戦闘は回避されました。その事には感謝します。ですが内乱が終ったわけでは有りません。内乱は我らの戦いをもって終結するでしょう。この上は皇帝として結末を見届けて頂きたいと思います」
「……」
エルウィン・ヨーゼフ二世が俺を見た。止めて欲しい、眼が訴えている。
「陛下、止める事は出来ません。あの二人にとっては未だ内乱は終わっていないのです。そしてローエングラム侯の名誉を守るにはこれしかありません」
「……予は無力だな」
寂しそうな声だった。胸を衝かれた。
「だからこそ見届けなければなりません。それが陛下に出来る唯一の事です。ここから逃げる事は許されません」
無力さを噛み締める事が強さへの第一歩になる。ここから逃げたらエルウィン・ヨーゼフ二世は弱いままだ。それが分かったのだろう、エルウィン・ヨーゼフ二世が頷いた。
“ヴァレンシュタイン”とオフレッサーが声をかけた。
「ブラウンシュバイク公、フェルナー少将達に伝える事は有るか?」
遺言か。
「御好意には感謝しますが自分の口で伝えます」
ほう、勝つと言うか。オフレッサーがニヤリと笑った。
「……その言葉、確と聞いた。待っているぞ、戻って来る事を」
ヴァレンシュタインが腰のナイフケースからドルヒを抜き逆手に構えた。ローエングラム侯も構えた。構えは順手だ。
「ヴァレンシュタインが逆手でローエングラム侯が順手か、受けと攻め、二人の性格が出ているな」
「そうですな、閣下なら如何します?」
「俺は順手だ。卿は?」
「小官は逆手を」
「なるほど」
オフレッサーが妙な眼で俺を見た。なるほど、俺を計ったか。どうやら考える事は同じらしい。この戦いを通して互いを計ろうとしている。何時かは戦うかもしれないという事だな、ヴァレンシュタインが居なくなればその可能性は高まる……。
二人がゆっくりと距離を詰めた。俺から見る
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