暁 〜小説投稿サイト〜
劇場版・少年少女の戦極時代
ドライブ&鎧武 Movie大戦フルスロットル
神の復活に必要なものは何か?
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 ――メガヘクスと貴虎・光実の戦いを、碧沙と舞も隠れて見ていた。

 貴虎の奮戦により、極の鍵は奪取できた。
 だが、その奮戦こそが、メガヘクスの逆鱗に触れた。

『諸君を抹殺する!!』

 メガヘクスが兄たちに大きな攻撃を放とうとしているのは、碧沙の位置からでも瞭然だ。

(どうしよう。このままじゃ光兄さんが。貴兄さんが)

 喪う恐怖に震えそうになった碧沙の、肩を、舞が掴んだ。

「ヘキサちゃん、あたしに血を飲ませて!」
「え!?」
「ヘキサちゃんの血。ヘルヘイム抗体。前みたいに、あたしを“はじまりの女”に戻して!」
「で、でも、わたし……」
「迷わないで!」

 碧沙は、はっとした。

 迷わない。
 それが呉島碧沙の唯一の長所だったはずだ。

 碧沙は近くの生垣の植物を折り、鋭利に折れた枝で腕を力一杯こすった。微かだが血が滲み出た。
 その腕を舞に差し出すと、舞は碧沙の腕に浮かぶ血に吸いついた。

 舞の体が白く光り、姿を変える。
 髪は金へ、衣は白へ。神の横に並び立つ女神の()姿(すがた)へ。

 “はじまりの女”に戻った舞は、貴虎と光実の前に転移し、バリアを展開した。




 メガヘクスの衝撃波は遮られたが、押されているのは舞のほうだ。

「貴兄さん! 光兄さん!」

 碧沙は急いで兄たちのもとへ駆けつけ、倒れた貴虎と支える光実の背に手を添えた。

 今は舞のバリアが衝撃波から守ってくれているが、それもいつまで保つか分からない。

『諦めろ! 諸君は無力である!』

 呻く貴虎の手の中には、葛葉紘汰が使っていた極の鍵。
 光実が鍵を握る貴虎の手を握った。
 碧沙も、一瞬だけたじろぎ、手を重ねた。

 ――三兄妹の手が、初めて、ひとつに重なった瞬間だった。

《 ロック・オープン 》


 “俺は絶対に諦めない!”


 確かに聞こえた、力強い声。

 メガヘクスの青い衝撃波が舞のバリアを打ち破った。
 しかし、衝撃波が彼女たちを焼くことはなかった。

 オレンジ色の球体が、碧沙たちを守るように包み込んでいたからだ。

「兄さん、傷がっ」
「これは――治っている? どうして」
「もしかして……!」

 オレンジの球体が割れ、光で構成された無数の果実のアームズと一体化し、碧沙たちの背後で天から地へ迸った。

 やがて極彩色のカーテンが上がる。
 これほど壮麗なステージに立つ演者がいるとしたら、碧沙には、ただ一人しか思い当たらない。


「待たせたな、みんな」


 “はじまりの男”――葛葉紘汰、オン・ステージ。






 舞の体が白く光った。光が晴れてから変化があった
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ