第32話 気付かれないように近づくのに上から派はいない
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ホークアイと違ってアスラの歩行には安定感があった。
さすが、″鎧人″は体力がまるで違う。
「あんまり揺れなかったか?」
アスラが俺を下ろして訊いて来た。
先程言った通り、非常に安定感していたし
何となく安心感のようなものを感じていた。
俺はとりあえず相槌を打った。
「そうか、それなら良かった」
彼は俺が先程倒れてしまったことを気にしているらしい。
そこまでの事ではないと思うのだが、彼は心配性なのだろうか。
「ジェーンちゃん。アスラのおんぶはどうだった?」
マリーが横から顔を覗き込むようにしながら訊いて来た。
俺は少しの間を開けて答えた。
「すごく安心できるな」
簡潔に語るならそうなる。
マリーは自分が言われた事みたいに嬉しそうだった。
「アスラはね。おんぶがすごく上手なんだよ!
前はよく私をおぶってくれてたんだぁ♪」
それを聞いた俺は、アスラの事について気付いた。
あれは心配ではなく(心配もあるかもしれないが)
マリーを背負っていた頃のクセのようなものだろう。
背負う相手の事を考えて歩く。これがあの
背負われる側への安心感を生んでいるのだろう。
「‥‥‥マリーはアスラの事が大好きなんだな」
俺は少し笑いながらつぶやいた。
それが聞こえたらしくアスラは歩みを止めた。
そして、聞き耳を立てているようだ。
気付かれてないと思っているのだろうか?
(まぁ、目の前に気付いていない女の子が一人いるのだが)
「うん!大好き!!」
マリーは満面の笑みで言い切った。
ボンッ!!
それを聞いたアスラは爆発した。
顔は見えないが、確実に恥ずかしがっている。
そのままフラフラと離れてどこかに行ってしまった。
何度かこのやり取りを見たが、何度見ても飽きないものだった。
「‥‥‥‥‥‥いいな、マリーは」
正直にそんなことが言えて。正面から恋が出来て。
どちらも、俺にはとてもできないものだった。
「えっ、何が?」
マリーが俺に訊いて来た。
思わず口からこぼれていたらしい。
このままでは俺の愚痴になってしまうので
何とかごまかす方向で行こう。
「‥‥‥‥あんなカッコイイ彼氏がイテヨ」
うわ。我ながら嘘つくの下手だな。
後半なんて声がおかしくなってしまった。
しかも、これじゃ俺も少し狙ってるみたいに
マリーに誤解されてしまいそうだ。
「うん、良いでしょ♪」
いいや、彼女はド天然だった。
嘘もつけないような超の付く天然なのだ。
性格上、これ以上深追いはして来ないだろう。
とりあえず、ごまかすことが出来た。
スタ スタ スタ
マリーはゆっくりと音を立てないようにして
アスラが背
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