第32話 気付かれないように近づくのに上から派はいない
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「う‥‥‥うぅーー‥‥ん」
俺は目を覚ました。‥‥‥‥目を覚ました?
体は起こさずに辺りを見回してみると
周りでみんなも眠り込んでいた。
『‥‥‥‥お、俺は‥‥‥‥‥‥』
いつから眠ってしまっていたのだろうか?
話をしている途中から先の記憶がまるでない。
熱はずっとあったが、その時からずっと無理をして
話していたことが悪かったのだろう。
(しかも短時間は上半身ほぼ裸だったし)
だが今はだいぶ体の調子は良い。
俺はゆっくりと身体を起こした。
「うっ‥‥‥‥ッッ‥‥‥」
腹部の腫れの痛みも少しだけ和らいだような気がする。
(本当に気のせいの気もするが)
空を見上げてみると、日は少し傾き始めていた。
『みんなを起こさなくていいのか?』
森のど真ん中で寝入っていた俺が言うのもなんだが
これってかなり危険な状況なのではないだろうか。
あまりに多い供物に″鎧虫″たちが
どれから食べ始めようか悩むほどではないだろうか。
『しかも‥‥‥‥‥‥』
何だか全員が本当に良く寝入っているように見えるのだが。
アスラはよだれを口から垂らして寝ている。
マリーはそのアスラの背中にくっついて寝ている。
ホークアイは毛布にくるまって安定した寝相でいる。
ここまでは分かる。
リオさんは全員とは違い、やや斜め向きに寝ている。
そして、迅さんもこちらに背を向けている。
顔をうかがうことは出来ないが多分寝ている。
『‥‥‥‥‥‥全滅かよッ!?』
俺は心の中で叫んだ。
ここで本当に大声で叫べば″鎧虫″に
見つかってしまうかもしれないからだ。
みんなは寝息を立てながらスヤスヤと眠っているが
起きている俺にはそんな余裕はない。
出来ればあのまま眠っていたかった。
しかし、この状況下と知った中
のん気に二度寝などできそうにない。
『誰でもいいから起きてくれ〜ッ!!』
俺は半ば泣きそうな思いで心の中で叫んだ。
「お?起きたのか」
迅が俺の方を向いていた。
その目は完全に見開かれている。
いつの間にか起きていたようだ。
「迅さん‥‥‥‥‥」
「ん、どうした、悪い夢でも見てたか?
目からちょっと涙が出てるぞ」
そう言われたので目を拭うと少し濡れていた。
あんな状況の中、一人でしばらく起きているのは
正直に言って怖かった。
一人で生きてくと前までは思っていたが
こんな無力な状態では、仲間の存在が
本当に頼もしく感じられた。
マリーの言う通りだ。仲間は本当に大事な存在だ。
「‥‥‥‥一人が寂しかっただけさ」
俺がそう言うと、迅は少し不思議そうな表情をしていた。
「‥‥‥‥‥何だよ?」
「えっと‥‥‥何というか‥‥‥‥」
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