序章 Another_Beginning.
[2]次話
学園都市。
総人口およそ二三○万人が生活している大都市であり、その約八割を学生が占める新世代の都市。
その街の技術力は世界平均レベルをはるかに凌駕し、現在の地球科学の頂点に君臨している。その発達した科学力をもってして建設された近未来的な街並みも有名な一つだが、それとは別にこの街が誇示するものが存在する。
この都市最大の特徴は、科学とは対極の概念であった、俗に『超能力』といわれている特殊な力を有した学生を育成しているという点にあった。
学園都市では投薬や電気ショック、催眠術などの人為的な方法を使い、一種の精神障害を引き起こさせ、通常の人間と少し違うズレた世界を想像し────『自分だけの現実』を発生させて『才能ある人間』に身体を作り替えることが可能になっている。
また、これらの要領で能力者になった者達は学力や個人の有している能力から六つの能力レベルに分けられ、そのレベルに見合った学習環境を提供されており、生徒の能力の開発・発展に重点を置かれている。
そして、その学園都市には能力開発によって誕生した最高位の能力者たちが存在する。
───『超能力者』と呼ばれる者達だ。
しかし、その称号を手にしている人物は人口およそ二三○万人いる学園都市に、たった七人しかいない。そう、たった七人だ。
およそ二三○万人いる能力者たちの頂点がたった七人ということは、それだけ彼らは希少であり、強力であり、『天才』の集まりだということ。実際に、彼らと並の能力者とは天と地ほどの差がある。例えるならば像とアリが戦うようなものだ。結果は分かりきってる。それほど、圧倒的なまでの差が超能力者との間には存在している。
そして、そんな天才集団に位置付けられた彼らの中で、さらに順位が付けられているのた。
────しかし、実際には順位付けされていない超能力者が一人だけ存在する。
彼の存在は一部を覗けば誰も知らない。
────学園都市に七人しか存在しないはずの超能力者の一人であり、この街に存在する天才の一人。
彼の名は──────折槻集
彼の有する能力『粒子計測』は自らが観測した分子・原子を自在に操作・変換・分解・結合できる力を持つ。
本来なら存在しない────存在してはならない────筈の少年。
これは、そんな異端者である彼の物語である。
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