空白期 中学編 28 「真夏の海辺で」
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変な誤解とかしてないんで」
似たような反応をする人間は結構見てきてるから。身近にはからかう人間と過剰な反応をする人間が意外と多いし。
先輩は少々泣きそうになりながら感謝の言葉を述べて黙ってしまう。毎度のように思うが、よくもまあこんな姉がいるのにあんな妹が育つものだ。騙されやすそうなので、それを補うために妹は妹なりにしっかりしようとした結果なのかもしれないが。
というか、まだディアーチェ達が居るところまでは距離がある。無言への入り方が入り方だっただけに妙に気まずい。
だが俺と先輩の間で話せることなんて何があるだろうか。昔のことを聞くと状況が悪化しそうな気がするし。ならディアーチェ達の小さい頃のことを……今とあんまり変わらなそうだよな。話してもすぐに会話が終了してしまうかもしれない。となると……
「……そういえば、先輩は進路はどう考えているんですか?」
先輩は俺達よりもひとつ上なので現在中学3年生だ。こちらの世界に残って高校に進むのか、それとも魔法世界に戻るのか選択を迫られている時期だろう。
「進路ですか? そうですね……こちらでの生活は楽しいですし、父さんもまだ若いんだから自分の好きなようにするといいと言ってくれています。けれど……父さんは研究の事になるとのめり込んでしまう人なので、生活習慣が不規則になったりするんですよね。それと考えると……」
先輩の気持ちはよく分かるな。俺の義母さんも似たような人だし……まあ昔よりは家に居る時間が多くなってはきてるんだけど、あっちに移り住んでからが心配ではあるな。家が近くなるわけだから帰ろうって意識が低くなりそうだし。
「ですが私があちらに戻ってしまうとキリエが……人に騙されるようなことはないとは思うのですが」
「姉としては心配ですよね」
「はい……あの子の性格を考えると人様に迷惑を掛けそうですし」
そうですね……でも先輩が居てもあまり変わらないと思います。あの子は先輩に迷惑を掛けるでしょうから。
「現状だとあの子は卒業すればあちらに戻ると言っていますので、あの子が卒業するまではこちらに残るかもしれませんね。こっちからでも父さんの手伝いには行けますし、社会勉強の一環としてアルバイトなどもやってみたいですから。ショウさんは卒業したらどうするか考えられているのですか?」
「はい、考えてますよ。今後何もなければあっちに移り住むと思います。俺も義母さんも仕事場はあっちですから」
「なるほど、ショウさんは優しい方なんですね」
優しげに笑う先輩に俺は顔を背けながら、「そんなことないですよ」といった感じに素っ気無い返事をした。
優しいと言われるようなことを言った覚えはなかったのだが、自分が気づいていないだけで義母さんあたりの声色が違っていたのかもしれな
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