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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十三幕 「油断するものを敗者と呼ぶならば」
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て相手を破壊する兵器。極論を言えば近くで爆発さえすればいい。スカーフで叩き落とされれば衝撃は届かないが、命中する前に至近距離で爆発させればバランス程度は崩せる筈。
「ユウ!」
「応ともッ!!」
そして、その隙を逃がすまいとユウは回避の動きから反転して地面に足を突き立てて踏ん張る。加速と重量分の運動エネルギーを打ち消すように地面が大きくえぐれ、脚部がみしり、と嫌な音を立てるが、構わず曲げた足に全力を込めて空へと踏み出す。
踏み出すと同時にPICを全開に、噴射加速。踏出瞬時加速の要領で爆発的な速度を得た風花百華は、一筋の矢のように雷陰に迫っていた。
ユウは、簪がマイクロミサイルを自爆させると決めた時には既に反撃のために反転の準備をしていた。簪の目を見て、彼女が今から隙を作るのだと直感したから。そこに言葉など必要ない。ただ、根拠のない信頼と確かな付き合いがあればそれを手に取るように理解できる。
「"武陵桃源"、脚部収束!!音速粉砕……バリアキィィィーーーーックッ!!」
踏出、噴射加速、バリアの三点を乗せた猛脚が、爆発で動きを止めた雷陰に迫る。
二人の連携は、完璧に近かった。
だが、連携が出来ている事と敵を打倒できるかという事は、別個の問題でしかない。
「ちょーっと……その行動は尚早だよ?ユウちゃんッ!!」
「何ッ!?」
バランスを崩しているようにしか見えなかった雷陰の動きが、反転する。
全力を込めた渾身の蹴りは、そっと添えるような蹴りでバランスを崩した。軌道を逸らされた一撃は、たったそれだけのアクションで無力化される。そこに至って、ユウは己の迂闊さを呪った。
――くノ一は、バランスを崩してなどいなかった。ただ、そのふりをしていればユウは乗るだろうと考えたうえで態と晒した罠。つまり、ユウはまんまとその罠に飛びこまされたのだ。
気付いた時にはもう遅い。加速によって方向転換の利かない状態での突進は、速度と威力がある反面で回避されたときに背中を晒してしまう悪手でもある。
全てを込めた破壊力は、必中の状況でなければ使ってはいけない。
その原則を、勝利に焦るあまりに破った。
完全な自業自得にして愚の骨頂。考えうる限り、最悪の失態だった。
くノ一のガドリングが、自然なターンと共にそっとユウと風花百華へ照準を合わせた。
その隙を突くことが出来れば、くノ一ならばそのまま反撃を許さずにバリアエネルギーを枯渇させることも出来る。
「結局、負け犬は負け犬のままか……最後の最後に焦って吶喊なんて。ユウちゃんにはまだ早かったのね」
くノ一は残念そうに、しかしどこかで安心したような安らぎの混じった複雑な顔で、終幕を下した。
――ただし、他2名の役者はそのカーテンコールを素直に下す気などまったくなかった
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