番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
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が次々に刀身を叩きいれて行く。降り注ぐ暴力に対し一歩もひるまず、寧ろ“嬉しそうに”慌てず見切っていく。
出来の悪い殺陣にも酷似した、イレギュラーな戦いだ。
アオの攻撃を真正面から弾くのではなく、勢いを逆利用して流す様に弾く技量は、先程のスピード対テクニックの剣士としての戦いよりも、また上がっている。
女性もダメージが無い訳ではない、しかしながら、優勢なのは女性の方だった。
「ルォォオォオアアアアアアアアアッ!!!」
「うおぉ……!」
意趣返しかパリングしようとしたスコーピオンの柄に刀を叩きつけ、女性ほ後方へと吹き飛ばした。
そのまま一方の刀を地面へ突きたて、もう一方の柄を両手で握れば……あの異形なる剣術が、今また再び迫り来る。
「夜の明け……星斬り流剣術――――異の型・五番ッ!!」
「……スゥー」
息を吐き右へ左へステップを繰り返し、女性は狙いを定まらせない。そんな事はお構いなしに、アオは充満した狂気をぶつけるかのように振り降ろす。
顔から一瞬でも笑みが切る程の妙技が、彼の手により炸裂する。
「斬撃黎明殺此世終焉ィィィィィイイイイイ!!」
剛剣の剣圧が暴風を巻き起こし、巨鬼の剣を打ち込んだが如く地が割れ、剣術ならぬ剣術が命を絶たんと女性へと迫りくる。
彼女はその一撃を、それでも確と見据えて―――
「キシッ♪」
それと同時に血走った目をっぱいに開き、美少女とも呼べた顔を崩す程に口角を上げる。
余りに喜びを抑えきれないと言わんばかりに、ただただ楽しげに笑っている。
アオは彼女の表情こそ目に入っていないものの、嬉しそうに狂気ばんで笑む。
「これもやり過ごすか……良い! 実に良いぞお前はあっ!」
「へぇ、そうですか、それは此方も力を入れた甲斐があるといものです♪」
笑みは笑みでもこもる意味の違う笑顔をころころ変えながら、今度は楽しげなモノをアオの台詞へと返す。
アオの剣術に勝っているのは自明の理。しかし威力では決め手に欠け、対してアオの技は一撃でも直撃をもらえば敗北は必至。
そんな状況の中で攻撃を差しこむ技量は大したものだが、余波でそれなりのダメージを受けているからか、女性は跳び込んで行こうとはしない。
「まだまだだ!! 力の戸張を越し! 己が力量をまだ上げて行くぞ女ああああっ!!」
速度ががまた数段上がる。大振りなれども、いっそもう可笑しくなってしまうスピードで、次から次へと必殺の刀剣が降り注ぎ、跳ねあがり、向い来る。
女性もまだギアが上がるのか、最早彼と彼女を第三者から見ればお互いに、紅い影と青い影のみしか視認
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