番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
[9/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
楽しませて見せてくれええええっ!!」
これはかなり簡単な話、アオの攻撃に尋常ならざるパワーが加わった分、振りが大雑把になっているのだ。
風圧に耐えられる力、そしてそれ相応の実力と胆力さえあれば、あとは単なる的なのである。
皮肉にも彼が狂乱し、スキル発動から本気を出した事が、均衡を一気に破る結果となったのだ。
さりとて女性の方も先寄り速度が上がっている辺り、本当に本気では無かったようだが、それでも暴威の嵐とも呼べる。
右から振り上げ左腕ごと刀を叩きつければ、また右から振りおろしてもう一発一閃を加え、無茶な挙動でまたも右の刀を三度振るう。
当たらぬと見るや左の刀を豪快に振り回し、鎌刃部分で腹部を切られた事に構わず鉄柱の如き脚撃が襲来。
女性はそれを何と真っ向から打ち落とし、斧刃を腹部を切りつけ右手を逆手に持ち替えて、後方へ体重を込める要領で思い切り吹き飛ばした。
「コレこそが至高だ赤き女よ!! 此処までの戦を “私” は求めていたのだ! コレが “私” の求める闘争なのだ!!」
「……ニィ♪」
しかしながら、女性の表情は先までとは少し違う。
目を閉じて満面の笑みを浮かべていたあの時は何処やら、今は目を半開きにし微笑を浮かべたまま、そこから全く言葉を発さない。
余裕が無い訳ではないのなら、何故に先数十秒前までの嗤い顔を浮かべないのか。それとも……充満する狂気が告げているように、刻一刻と“溜めている”のか。
「まだまだまだまだあああああっ!! 天舞散血―――」
「ニィ……ハアッ!」
そこで女性はアオに近づき、思い切り左拳を振るう。技は力技で一時中断され、下がると同時に振るわれた裏拳がアオの鼻先をこする。
跳び上がる様に繰り出しても、自ら後退してはさりとて当たらない。その一撃を何故繰り出したのか。
「グボオッ!?」
否、当たった。
“真っ赤な影” がアオの前に姿を僅かながら表したかと思うと、至近距離にて何かが爆発したかの様な勢いで、アオは後方へとすっ飛ばされていく。
刀を地に差して勢いを無理やり殺し、目前へ迫っていた穂先を捩じり避け、片手直剣スキル《ホリゾンタル・スクエア》にも似た四連水平切りを繰り出す。
だが、一発一発力を利用して有らぬ方向へと流し、女性はほぼノーダメージでやり過ごしていく。
「クハハハハ……シィィイイイィイィィイアアアアアアアア!!」
剣よりも腕が、肘が、体が先に出る双刀の乱舞。
袈裟降ろしを避け突き込み、切り返しをよけ斬りつけて、体ごと突っ込めばフレームで二度殴打される。
破壊を伴う刀剣の嵐を中を潜り抜け、血色の蠍
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ