番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
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いなのだからな!!」
「おおぉ……!」
それは、第弐戦目の、そして本当の意味での殺し合いを訪れを告げる、錆し鐘楼にも似た狂者の叫び。
口調が、一人称が、気迫が変わる。変らぬのは狂気ばかりなれども、しかしそれは確かに増大していく。
彼もまた少し舐めていた。
攻略組を壊滅させたとはいえ、エクストラスキルにユニークスキル、一部持ち合わせる特殊技能に戦略など、全てを持ち込みつぎ込めば何とかなると、そして女性もそう言ったものだと思っていた。
だが剣を交えてそれは見当違いであり、単純な実力で彼等を葬り去ったのだと解ったのだ。
アオより滾々と湧き出る興奮を止める閂など、もうこの場には存在していない。
スキル《血印》により、カーソルがモンスターを表す赤へと変わる。一層筋力と敏捷性が格段に増し、血涙とも取れる青い一本線が刻まれる。
刀を勢いよく交差し、影のみ見ればまさに『鬼』とも言える形相を湛え―――
「夜の明け……星斬り流剣術、異の型・四番ッ! 天舞散血翡翠業ォォゥッ!!」
払われた刀より生まれし二重に重なる首斬りの大太刀が、女性プレイヤーへ御首へと迫る。
「キシィ……あら、無骨ですねぇ?」
その時、厳密には技を放った瞬間か……女性の顔が一瞬だけ “別の顔” になった気がしたが、アオはそんな事などすでに気にしていない。
直ぐに呆れともとれる苦笑いの表情へ戻り、そこから溜息を吐き、頭上を通り過ぎて行く魂狩りの風を見やる。
やはり身長の低さが利点か、難なくやり過ごした。
……尤も、迫りくる速度とよはが尋常ではない為、屈めば良いというものではない。それを危なげな
くやり過ごしたのだからか、アオの狂気は更に増す。
「ハハハハハハ!! そうでなくては意味が無い! これでアッサリ斃れられては興ざめも良い所なのでな!!」
「ウフフ、更に喧しくなってしまいましたか……ウフフ♪」
最早笑んでいるのは顔だけなのではないかと思えるぐらいに、声音には異質な狂気と喜色の感情がこもっていた。
この事から、恐怖も畏怖もしていないことだけが、赤い彼女からは窺えた。
「死ぃぃぃいいいいいいいあああああああぁぁぁぁああ!!」
奇怪な雄叫びをあげてアオは女性プレイヤーへと肉薄した。
今まで以上の激戦が、血を血で洗う闘争繰り広げられる事は、誰の目からも明らか……明らかな筈だった。
アオの一撃は空を切り裂き、風を起こして地を削る。しかし女性には全く当たらず、要所要所で逆に突っつかれ、どんどんダメージが重なっていった。
「もっとだ! もっともっと “私” を
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