番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
[7/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、大きく穂先を晒した状態から鎌刃での引き切り、僅かに位置を移動させての斧刃やフレームの応酬。
と、スコーピオンに打ち降ろされた勢いで右腕のある刀が落ちる……と思った刹那、蹴りあげられて女性のすぐ目の前に飛び出し、直ぐ掴んで顔面へ切り込む。
首を後方へ引っ込めたのも見ず、左での突きもまた行われるが、今度は下に構えてあったスコーピオンが回り込んできた事で、先のやり取りと変わらず無効化された。
担ぐようにして構えられたスコーピオンの柄尻を向け、ピック部分での刺突をこれでもかと繰り出されれば、アオは一歩下がって蹴るふりをして、一旦足を突き出しもう片方の足で本命の水平蹴り。
それは同時に体重を乗せて放たれた、女性の膝蹴りで対処される。
でもそれはスキルでは無い。即ちすぐに行動が出来る事に他ならない。示すかのように右の刀身が降り注ぐ。
「ほいっ」
グルンと脚へと腕を撒きつけ、件に技とスコーピオンを当てて下へ持って行かせながら、またの間とも言える隙間を掴んだ場を使って、アスレチックで遊んでいるかのように潜った。
まともな回避行動ではないソレはアオの言った様に、確かに彼女は変な挙動ばかりする女性だと、幾度となく痛感させられる。
良く見れば、浅いながらもアオにはダメージエフェクトが付いており、女性のカーソルも何時の間にかオレンジへと変わっている。
一進一退の攻防に見えたが、僅かにダメージを入れられていたらしい。
すると……そこでアオの動きが止まり、狂気を湛える笑みのまま、右手の刀の切っ先を赤い女性へと向けた。
「何故隠している?」
「隠す? ……ああ、本気を出さない理由ですか」
「―――そうだ」
自分から聞いた癖に直ぐに答えを出した所為で、少しばかり躓いたがアオは肯定の意を示す。
顎に手を当て態とらしく考える所作は隙だらけにも見えるが、迂闊に突っ込んで行けばどのような目にあうのか、アオは見を持って体感している。
それが彼にとっては寧ろ心地よくもあるのだが。
手心を加える理由、もしかすると先の様に加減しても尚僅かながら実力差がある為、舐めきり馬鹿にしているのか……しかし、そうではなかった。
「いやはや恐れ入りました。同様に “本気” を隠している貴方に言われたくは無いのですが?」
「ふ、ふふふふふふ……」
言い方こそ辛辣なれど嬉しそうな笑みを隠さない赤い女性に、アオもそれ以上の嗤いで返す。
どうやらアオが女性を見切った様に、女性もアオを見切っていたようだ。
笑い終え、静寂が訪れたその地に……一つの変化が起きる。
「なら俺も―――――“私” も本気を出させてもらうとしよう! 久方ぶりの死合
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ