番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
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笑みを浮かべたままに、左の刀を背負うように構える。……そこめがけてスコーピオンの振り降ろせし剛撃が来た。
不利な状況へ持って行かれるパリングですら、相手のソードスキルを見越した上で攻撃に組み込んだのだ。
「首やら心臓ばかり狙うとは……殺気を消さねばバレバレですよ? ウフフ?」
「お前こそ変な挙動ばかりするなよ? 動きが読みずらい」
一進一退の攻防、どちらが優れているでも無ければ、どちらが劣る訳でもない、攻略組と比べてなお数段以上も上であると、そう決定付けられる戦闘を繰り広げている。
此処に観客が居たのなら、またアオの表情に狂気が混ざっていなければ、女性が罪を犯していなければ、アインクラッド至上尤も盛り上がるデュエルとなったであろう。
ディエルの申請も無い、異質且つ卓越したこの戦は、先にコンマ数秒でも気を逸らし、そこへ楔を打ち込まれたプレイヤーが負ける、戦闘慣れした玄人同士の戦いと言えた。
「ハアッ!!」
「ウフフッ♪」
右手と左手を僅かにずらした水平ニ連撃に紙一重で回避する事で女性は対処、けれども左の剣は途中で止められ突き攻撃へ移行する。
頭上にある右手の剣へ向けスコーピオンを一振りし、リートの差から横へと無理矢理打ち飛ばされ、用意していた次撃は袈裟切りへと誘導させられる。
更に右側へステップし女性はそれをも避けるが、アオに体ごと振りむいて左の刀を頭へ振りだされた。
それを屈んで避ければ次に顔面へ迫るは、体勢から体に巻きついていた右腕……その手に握られた刀での斬リ払い。
それすらも咄嗟に後ろへ飛ばれ、スコーピオンを掴んだままのバク転でかわされた。
しかしアオは何を思ったか左の剣を緩やかな弧を描いて放り投げる。そこへと目線が言っている間に俊足にて移動し、スピードを上げた右の刀が心臓部へと向うが、それも予測済みか普通に弾かれる。
「粗末な手ですね?」
「ふっ……はああっ!!」
「おや」
左手での猛烈な拳打のラッシュと、二度振り切られた右の刀をスコーピオンの柄でいなし、突き出された左腕へ向けてそのまま追撃へ―――
「や、駄目ですね」
向かわずステップしてみれば、通り過ぎたのは“左”に握られた刀だった。緩やかに高くあげられた剣は、この為の布石だったらしい。
近距離でのインファイトに持ち込んだのも、上から落ちる刀を遠くへ飛ばされない為か。
振り切り左肩が出た状態を活かして、体重を乗せてまたも突撃。倒れ込むようにして一気に軸を変えて別方向から連撃を開始する。
アオからは左で斬り降ろし跳ね上げて、入れ替わる形で右を突き込みすぐ左、また左で水平からの右で行う三撃。
女性からは突きに混ぜて
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