番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
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まった。
「―――――」
「ぐ!?」
何かと呟き突き出された穂先のエネルギーが爆散、アオは体を宙へと投だされてジャイロ回転のまま
不器用に着地する。
まだまだ女性が優位、それでもジワリジワリお互いの生命は削られていく―――――終わりは近い。
体現するかのように、アオは太刀風を放つ腕を止めるや否やすぐに両手も地を敢行。自身の嵐からなる弾幕そのままに、ソレごと切り裂かんと己が力を注ぎこむ。
何処までも何処までも膨れ上がっていく猛意の中、女性はとうの昔に冷め切っていた。
そんな些事などに構わず、アオは構えを止めない。
「夜の明けっ! 星斬り流剣術!! 異の型・五番っ―――」
終幕を意味する一撃が、今放たれる―――!
「斬撃黎明殺此世終焉ィィィイイイッ!!!」
狂気と興奮が有頂天となるアオ……そんな彼とは対象的に、
「……もう終わりにしましょうか」
女性は何処までも静かだった。
みると、何時取り出したのだろうか……左手には“赤”色で、 “緋”色で、“朱”色で……“紅” 色で塗られた、スコーピオンがもう一振り存在していた。
殺戮の一刀を前に焦る事も恐慌も無く、ポーンと軽く放り投げて―――
「シュッ!」
ありえぬ個所と挙動で掴み、大砲と見紛わん迫力を持たせて蹴り投げた。
二か所で大発布とも錯覚してしまう爆音と砂煙が高々舞い上がり、お互いの姿を底から覆いかくし、しかしあった事を告げるように大地を激しく揺らした。
白煙と砂煙漂う中、影は二つ見える。1人は立っている、しかし一人は倒れている。
立っている方の人物、それは―――――
「……無様ですねぇ」
紅く、赤い女性プレイヤーだった。
アオには見えていた……蹴り投げた瞬間、彼女の前方で赤い“何か”が爆ぜ、ダメージを負わせながらも強引に退避した事を。
間を縫う形で飛びこんできたスコーピオンに、目視こそ出来れど対処が出来なかった事も。
「ク、ククク…… “私” の、負けか」
「……」
ダメージが重すぎるのか、ゲームの世界だと言うのにアオの体は動かない。このまま殺される事は、言うまでも無いことだろう。
命のやり取りにおいて、奪うことにも奪われることにも忌避感の無い彼は、死の恐怖を感じ取れなかった。
だからこそ、最後の一撃をくらったのかもしれない。
だろうとも、彼にとってはコレこそが臨んだ事。
彼女がまだ本当の意味で“本気”を出してい無かろうと、隠し事が存在しようとも、彼にとって望む結果が訪れるのだから。
「さあ、
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