暁 〜小説投稿サイト〜
骨斧式・コラボ達と、幕間達の放置場所
番外『有り得ぬ世界』
交節・ぶつかりし狂気は紅(あか)と青
[11/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
出来ない。


 両手剣を引きずる様に叩きつけられる右の刀を腕ごと掴んで止め、そこから体を持ち上げて左の刀に乗ると、短く握り右に下がっていたスコーピオンでの突きが炸裂。

 飛び退くのも構わず交差され、振り抜かれたニ対からなる一撃で、余波を受け女性はまたも宙を舞うが、追撃の風を見る彼女のスコーピオンは “エボニーとクリムゾン”の二重螺旋に染まっていた。

 次いで放たれる突きはアオの剣風を貫き、着弾と同時に盛大に爆ぜる。そこまで予測は出来ずに、アオは着地時に隙を狙えず吹っ飛ばされた。


 アオの視界に入った横向きのバーは青も黄色も通り越して赤くなり、それは彼のHPの値が残り少なくなっている事を示していた。

 幾ら決定打に欠けるとも、同格の相手から度重なる攻撃を受け続け、更に先の一撃をまともに受ければ、持ち堪えられなくなるなど明白な事だった。

 しかしそれでも……アオは嗤っている。女性もまた、


「ぐふあっ! ……ハ、ハハハハァ!! いいぞ、これは良い! 目的が、目的が達成できるのだ! これで、どう転ぼうとも “私” の目的は達せられる!!」
「目的ですか♪ それは興味深いです?」
「ならば教えよう! 強敵との戦いで身を削り、その身を賭して戦に身を投じ! 呑み込まれ果てる!! 強者との闘争でこの身朽ちる事が “私” の望みなのだ!!」


 予期していたらしく、その言葉を受けても、しかし女性は嬉しそうなれどもそれ以上の悦びをさらけ出しはしない。

 が……何故だろうか。
 彼女の放つ空気から段々と、風船から空気が抜けて行くように、気概が抜けて行っている。


「なるほど……貴方程の逸材と相まみえても、私の心が躍らない理由が分かりました」
「心躍らぬと言ったか―――なら!!」


 アオは吠えると剣を交差させて構える。次に打ち出されるは勿論、首狩りの業風たる異質な剣術、その四番。

 これまで以上の力を込め、データの筈の筋肉が音を立てて盛り上がる。


「夜の明けぇ……星斬り流剣術ぅ……異の型・四番ッ!! 天舞散血翡翠業(あままいちるはちのひすいがごう)オオオオオオオォォォォォォォゥゥゥッ!!!」


 一発二発、三発、四発五発……六発に七発、更に幾度も乱れ打ちされる野太刀の如き嵐の刃が、女性の身体諸共魂を打ちとらんと荒れ狂う。

 それを受けてか、またも“エボニーとクリムゾン”にスコーピオンは染まる。
 一発碌な叫び声も無く鎌風を穿ち、乱れ打ちされる衝撃波のなかを走り抜けて行く。辺りに轟音から来る振動と爆破にも似た閃光をまき散らす。

 更に弾幕の密度は上がる……が、途端女性の姿がぶれ、紅い影を幾つも残す程の高速移動を開始した。
 尽く当たらず、距離は一気に縮
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ