彼と彼女は走り続ける
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のだから殺傷設定に切り替えるのは当然だ。早乙女はその光景を目を丸くしながら見ていた。
「危ないから絶対にここから動くなよ」
それだけ言って飛行魔法を展開し、空に上がる。辺り一帯が見渡せられる高さまで高度を上げる。そして、あたり構わず当たり散らしているグールスを発見した。
☆☆☆
空からグールスに近づいていくに連れ彼が異様な状態にあるのがわかった。
目は赤く充血し、体は異常に膨張、というより発達しているようだ。そして一番目を引くのは体の至る所に張り巡らせられている赤い模様のようなものと体に纏われている黒い煙のようなもの。
はっきり言って先程までの弱々しかった男には見えない。
「解析できそうか?」
「難しいでしょうね。あれは恐らくロストロギアの影響によるものでしょう。彼が力を発動した際に周囲に展開させておいたサーチャーは衝撃波で全滅してしまって確証はありませんが」
俺は改めてグールスの強奪したロストロギアについて確認する。
ロストロギア『グレイプニル』。
発掘された遺跡にて狼の巨像に巻き付けられていた鎖状のロストロギアだ。膨大な魔力を内包しており、計測器ではEX表示を記録している。また名前の由来は、北欧神話に登場する魔法の紐(足枷)。発掘者が地球の神話を愛好していたのが原因だそうだ。
発動例が無いのでどのような効果があるのかまでは明記されていないがグールスを見るあたり身体強化の類であろうことが予想できる。だが、理性を感じさせずあたり構わず当り散らす姿は『狂化』の方が合っているような気がしなくもない。
グールスが射程内に入る。
それと同時にグールスもこちらを補足したらしい。血走った目が俺を捉えていた。
「アーッッッッッッッッッッッッッッ!!」
獣のそれと同じ雄叫びが響きわたる。
「カートリッジロード」
カートリッジを2発づつロードし、高密度魔力弾を生成する。これは貫通弾と行っても過言ではないぐらいに貫通力がある。先端は尖っていて、着弾した時の衝撃も通常魔力弾の3倍はある。
「ファイア」
俺の言葉と共に二丁の銃からグールスに向かって魔力弾が発射される。
距離にして200メートル、2発の魔力弾が空を翔ける。
魔力弾が直撃し、爆発がおきる。
防御する動作は見受けられなかった。直撃しているはずだ。
煙が晴れグールスの体が現れる。
だが、その体には傷一つ付いていなかった。
「アーッッッ!!」
俺に向かって伸ばされ開かれた巨大な手には魔法陣が瞬時に展開される。
俺はすぐさま回避行動に移る。そして、チャージ無しの砲撃が放たれる
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ