彼と彼女は走り続ける
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「はぁ、はぁ、はぁ」
グールスから距離を取るためにとにかく走り続けた俺と早乙女はかなり息が上がっていた。
幸いなことにグールスは結界を広範囲に展開した後には俺たちを追うことも攻撃を加えることもなかった。
そのおかげもあり俺と早乙女は結界の末端まできていた。そこで結界の部分解除でもできないかと試みたものの、かなり複雑な術式で構築されていて俺では手も足も出なかった。
そして、管理局の結界解除班が来てもかなり時間がかかるであろう事がフォルネウスの出した結果だった。
俺に残った選択肢は二つだけ。
管理局の増援がこちらに来るまで早乙女を連れて逃げ続けるか、グールスを俺が倒すかだけだ。
だが、この二つの案は完全に作戦として運用できる代物ではない。
まず第一に管理局の問題である。
恐らく俺と別行動で猫探しをしていたであろう、聖がこの異変に気づいてこちらに向かってきているはずだ。
だが、聖にこの結界を解除できるほどの知識と技術があるとは考えにくい。よって聖が近くの次元航行艦に救援要請を出す可能性が一番高い。
だが例のとおり管理局はいつも来るのが遅いのである。
ということで、管理局は期待できそうにない。
そして第二に俺自身の問題だ。
正直言ってロストロギアを所持している次元犯罪者なんかは相手にしたくない。そもそも情報が少なすぎるし、その上早乙女もいるとなるとそろそろ打つ手がない。
どうするか……。
俺が思案していると状況を整理したであろう早乙女は何とか言葉を紡いだ。
「……羽武谷君。あなたってもしかして魔導―――」
その刹那、耳をつんざくような音と共に俺たちのいるところから後方百メートル付近が焼き払われた。
「おい……何だあれ」
「恐らく砲撃ですね。しかもチャージ時間が異常に短い」
「あの速度で撃てるのは通常魔力弾って言うんだよ!」
俺は早乙女を引っ張り、すぐさま移動を開始する。早乙女が何か言おうとしていたようだが今は後回しだ。あんなのをくらったら二人まとめて消炭だ。
「砲撃が来ます」
フォルネウスの警告のすぐ後に砲撃が放たれてくる。幸いなのは精度が低いことだ。ところかまわずに撃っているあたり直撃コースにくるものはほとんどない。
何とか距離をとったのはいいがこのままでは状況は悪くなる一方だ。どうやら、俺が時間を稼ぐ他ないらしい。
「フォルネウス」
「リミッター解除、バリアジャケット展開、殺傷設定に切り替え」
バリアジャケットが展開され、手には一丁ずつ銃が、腰には無骨なカートリッジ交換システムが現れる。局員を何人も殺している相手な
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