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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第一話
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いの話かな? と思えるくらい、時間は簡単に過ぎ去っていった。
 自分がどういった立場にいるのかは理解している。Lv.10なんて存在しえないはずのレベルを実現してしまったからには、私の腕を欲する多くの者たちに狙われることになるだろう。

 だから私は冒険者を引退することにした。引退といっても完璧にとはいかないので、ほどほどにというところだ。少し前までの私だったら「何休んでるの! セレーネ様に失礼でしょ!」と怒られるんじゃないかな。

 生涯現役と謳っていた私がその旨を打ち明けるとセレーネ様は一層嬉しそうに笑って喜んでくれた。その際にぎゅっと抱きしめてくれたのだが、少し痛かった。セレーネ様の力が強かったということではなく、体の老いが浮き彫りになったのだ。
 気づけば私は立派なおばあちゃんになっていた。でも皺とか白髪などは無くていつも通りだと錯覚していたんだ。
 それに代わってセレーネ様はずるい。その若々しい姿のまま成長は止まっているから、出会った当初と変わらない美しさがある。
 
 はぁ、私も若さが欲しいなぁ……。

 年寄りの悩める事情に抗うすべも無く日常を送っていたある日、セレーネ様が素っ頓狂な悲鳴を上げた。
 今日の【経験値(エクセリア)】の精算してもらっていたときに、セレーネ様が写し取った紙をぶるぶる震える手で持ちながら見せてきた。


 クレア・パールス
 Lv.10 
 力:S999 耐久:S999 器用:S999 敏捷:S999 魔力:S998→S999
 《魔法》【アルテマ】【ファンファルレーゼ】【ヒリング・パルス】
 《スキル》【不朽の心】【転生】


 最後の魔力がカンストしたこと以外に別に異常は無いと思うけど……。ん? いや待って、最後の【転生】って何? 【不朽の心】はLV.6あたりで発現したスキルだから問題ないけど、つい昨日更新してもらったステイタスの中に【転生】なんて文字は無かったはずだよね?

 セレーネ様も本当に困った顔をして「今まで聞いたことも無いよ」と言った。まあ【不朽の心】もいわゆるレアスキルで、これが発現した当初も同じようにセレーネ様が驚いていた。
 初めて【不朽の心】が発現したときはそりゃ喜んだけど、この【転生】というスキルには素直に喜べないところがある。
 もう昔のようにダンジョンに通うこともないし、それにこの単語の意味が不吉だ。死んでしまった後にもう一度違う生命に宿るって意味だよね。確かに死んだ後もセレーネ様と一緒にいたいけど、セレーネ様が愛しているのはクレア・パールスであり、その他の命ではないのだ。

 なんとも不思議なスキルの発現にため息を付きながらその日を終えた。



 クレア・パールス。齢79歳にて死去。死因は天寿の全う。
 彼女の葬式には
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