第一話
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に及ばず愛まで下さるとは……セレーネ様のご慈悲に号泣してしまうほど嬉しかった。
「本当はクレアに辛い思いをさせるつもりはなかったよ。でも、どうしても私はクレアと二人で居たかった……ゴメンね」
私がそのことを知ったセレーネ様はそう言った。どこまでセレーネ様の器は大きいんだと打ち震えながらも、その好意に感謝する他無かった。
もう少し安息日を増やしてみよう。
◆
後味の悪い仕事をした。ギルドと各ファミリアで連結して闇派閥イヴィルスを滅ぼしたのだ。
まだ掌に残っている感覚は酷く不愉快だ。何度手を洗っても落とされることはなかった。
そして一番嫌だったのが、この一件でLv.6に到達したことだ。レベルはただ経験を積むだけでは上がるものではなくやがて頭打ちになるものだ。レベルアップするには自分の限界を突破するような経験を積まなくてはならない。
だから、今回の一件こそ私の上限を突き破るに足るものだったのだ。自分がこんなにも嫌な思いをしているのに上がるレベルというのは何だというんだ。駆け出しのころの私はこんなものに憧れていたのかと思うと余計に苦しくなる。
でも、これで私もセレーネ様に貢献することができるはずだ。今までは報恩奉仕のために身を捧げてきたけど、ここから先はセレーネ様の役に立てるように頑張るのだ。
その第一歩として、冒険者駆け出しを指導する施設を建てた。これは私の駆け出しのころの悩みを思い出して、一人でもその悩みを解決できればと思って設立に踏み切った。
講師として私自身も参加して指定日に生徒たちの指導をしている。参加費は無料だから誰にでもなれる。
中々の人気のようで、私が所属している【セレーネ・ファミリア】に入団したいという人たちが劇的に増えてきた。しかし、【セレーネ・ファミリア】は設立してから四十年間私以外誰一人として入団を認められなかったファミリアとして有名だ。生徒たちは叶わぬ願いだと知りつつも口にしている。
他のファミリアも中々入団を許可してくれないため、冒険者のイロハを知っていても冒険者になれないという人たちが多くなってしまった。
それにこういった施設を建てるのは頂けないと色々な組織から苦情も寄せられている。
どうしたものかと頭を悩ませながらダンジョンと指導施設を行き来する毎日を送っている。
◆
知らない間、というのは本当にあるものだ。駆け出しの私が有名人の話を聞きに行ったときに度々聞いたフレーズで「意味解んないよ! 自分でしたことでしょ!」と憤慨していたことがあったけど、確かにこの感覚は知らない間としか言えないね。
私は前人未到のLv.10に到達していたのだ。
確かにレベルが上がるたびにセレーネ様に教えてもらっていたが、それもつい一分前くら
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