第一話
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本物の女神様だったんだけど。
何やかんやと手を回してくれたセレーネ様はひとまず無償で私の身の安全を確保してくれて、感謝しても仕切れない私は自分にできることなら何でもするからと報恩を申し出ると、セレーネ様は困ったように笑いながら言ったのだ。
「私の家族にならない?」
それが、私の冒険者として人生を歩む瞬間だった。
【セレーネ・ファミリア】は私以外誰も所属しておらず、セレーネ様自身もファミリアの増強にあまり興味が無かったためか、私以外に入団志望者が来ることは無かった。
私は命の恩人に尽くすために冒険者として一人前になることを誓って、その日から尽力し始めた。きっと家族を失って日が浅い私は、自分のことを大切にしてくれる存在を心から欲していて、セレーネ様はそれを汲み取って入団させてくれたのだ。
ダンジョンに潜ってばんばん稼いでセレーネ様に報いて、いつかこのファミリアも誰にも負けないくらい大きなものにするんだ!
そう意気込んで臨んでみたけど、全く上手くいかなかった。
まず冒険者として師事を仰げる人がいない。【セレーネ・ファミリア】が私だけというのも一端を担っているかもしれない、けれど、それ以前に私は冒険者になるには歳が若すぎて、しかも女という性別だけで軽く見られてしまうのが問題だった。
色々と悶着はあったけれどソロでダンジョンに潜り続けて手探りで冒険者のイロハを学んでいった。心身共に傷ついた私を温かく包み癒してくれるセレーネ様に更なる恩が積み重なり、もっと頑張らなきゃって毎日励んだ。
でも日々更新されるステイタスは無情にも目覚しい成長を遂げることは無い。セレーネ様曰く「その歳でソロなのによくここまで頑張った」なんだけど、私は全く納得いかなかった。
そもそも、Lv.1の時点でダメだ。下級冒険者と呼ばれてしまう時点で一人前なんて呼べるわけも無い。それにステイタスが示すとおり、私の実力はIランク、つまりドベだ。
このままではダメだ、もっと頑張らないと! でも思ったとおりにステイタスが成長しない…… 何か手がかりがあるはずだ! etc.……
それを毎日欠かさず繰り返して早くも半年が過ぎてしまった。今ではセレーネ様と私の生活費と冒険するための必要最低限の装備を揃えられるくらいの稼ぎができるくらいにはなった。
私たち以外にもたくさんのファミリアがあるけど、ファミリアに所属する団員がダメだったり人数が少ないせいで稼ぎを得られなかったりすると、なんとそのファミリアの主神すら働いて賄うということもあるそうなのだ。
そんなことをセレーネ様にさせるわけには断じて行かず、何とか最低ラインまで追いついたけれど、そこから先の一歩を中々踏み出せない。
ダンジョンに潜る→戦う→消耗する→稼ぎの一部を使う→生活
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