ドライブ&鎧武 Movie大戦フルスロットル
かつての彼女の行為は罪だったのか?
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「わたしも、兄さんたちと一緒に、行く」
すると、ふらつきながらも光実が立ち上がり、碧沙の肩を掴んだ。
「なに馬鹿なこと言ってるんだ! 碧沙はアーマードライダーでも何でもない、ただの女の子なんだよ。無茶にも程がある」
「けど、高司さん、捕まってるんでしょう? わたし、高司さんを助けたい。どうしても助けたいのっ」
――幼かった碧沙の知らずの罪。
碧沙の血が舞を“はじまりの女”にしてしまったこと。そのために咲が慕う紘汰と戒斗を争わせたこと。
ずっと隠してきた、心の奥ににぶく刺さったトゲ。
「奴はあの紘汰さんに勝ったほどの相手だ。僕と兄さんはそんな奴と戦いに行くんだよ?」
「いい。メガヘクスに取り込まれたら、迷わず見捨てて」
「碧……っ」
ぱしんっ
生じた頬の熱さに、ガレージの中にいた誰よりも、碧沙自身が呆然とした。
「貴、兄さ、ん」
貴虎が、碧沙を、殴った。
自分と光実には滅法甘い貴虎が、碧沙を殴ったのだ。
「二度と自分を粗末に扱うようなことを言うんじゃない」
真剣な目で碧沙を見つめ返す貴虎に対し、込み上げたのは、猛烈な後悔。
「ごめん、なさい……でも! わたし行きたい。兄さんたちがダメって言うなら、一人でも行くから」
かつて。ヘルヘイムの秘密を教えなければ単身“森”に乗り込む、と宣言した時のように、はきはきと、碧沙は宣言した。
「――そうなったら聞かないよな、お前は」
貴虎は碧沙の両の二の腕を掴み、目線の高さを合わせた。
「一緒に行くなら、約束だ。絶対にメガヘクスに取り込まれるな。そして、高司君を救うためでも、自分の安全を蔑ろにするような真似はするな。約束できるか?」
「分かった。約束する」
「絶対だぞ」
「はい、貴兄さん」
貴虎は満足げに微笑んだ。
「もう……兄さんは碧沙に甘すぎるよ」
光実がこれみよがしの溜息をついた。
「碧沙。何があっても僕と兄さんが守るから、兄さんの言うように、絶対に無茶はしないこと」
「はい、光兄さん」
――こうして、呉島兄妹の全員の参戦が決まった。
貴虎と光実、そして碧沙の行く手には、当然、ゲネシスドライバーを着けた戦極凌馬が立ち塞がった。
「感動の再会だね。貴虎」
「凌馬――」
「メガヘクスは神秘に満ちている。神のごときシステムと一体となり、その全てを感じ取る。研究者にとってこれに勝る喜びはない」
貴虎が拳を握り固めたのを、兄たちの後ろにいた碧沙は見た。
――研究者として、と凌馬は語ったが、今の彼にかつてのプライドや美学はない。ただメガヘクスの傀儡として再現されたヒトガタだ。
貴虎の「友」だった凌馬
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