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極短編集
短編64「花と花瓶」
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 陽子の声がした。振り向くと、陽子がツカツカとやって来て……

「バチーンッ」

 と、顔をはたかれた。

「だから男子は、子どもやって、いうとんよ!!」

 陽子は腰に手をあて怒っていた。僕は恐る恐る陽子に言った。

「こっこれ。綺麗やろ?」

 と、ビビりながら花を手渡した。陽子は知っている。お婆ちゃんが大切に育ててる花だと。

「黙ってとってきたやろ?」

 僕はブンブンと首を振った。

「陽子に花やるき、いっとう綺麗な花をくれ言うた」

 陽子は……

「んっ!」

 と、言って僕の手から、花を奪い取るとこう言った。

「もう責任とってもらうよってね〜!」

 陽子はアカンベーをした。陽子の手の中で……



 コスモスが揺れていた。

おしまい





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