短編61「金魚タクシー」
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僕は空中にある停留所に立っていて、世界は淡く光り輝いていた。
待っていると二階建てバスほどもある金魚がやって来た。やって来た金魚はコメットで、白い身体には綺麗な赤い斑点があり、尾びれが大きく揺らめいていた。
金魚の横っ腹に、人が通れるほどの穴が開いた。すると先に並んでいた人が、吸い込まれるように中に入った。一瞬、金魚は体を震わすと、スーッと泳ぎ出していった。
停留所でまた待つと、金魚がやって来た。金魚がやって来ると金魚の横っ腹に穴が開いた。僕はドキドキしながら中に入った。金魚の中は白く明るく、いい匂いした。
金魚の中からは外が良く見えた。斜め前方には、他の金魚達が沢山、泳いでいるのが見えた。青く白い世界。水草があちこちに、浮かんでいたり、下の方で揺らめいていた。
そんな中を金魚はスイスイと泳いでいく。流れる風景を見ていると、金魚が泳いでいるのか、僕が泳いでいるのか、良く分からなくなった。そして気付くと……
いつしか僕は、金魚になっていた。
遠くに停留所が見える。僕はそこまで泳いでいく。そして僕は停留所に停まり、脇腹に穴をあけると……
次の客を乗せたのだった。
おしまい
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