短編58「一緒になりたい」
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とある屋敷に男が住んでいた。男には愛する女性がいた。
『もっと一緒になりたい』
ぬくもりを交わすうちに、そう強く思うようになった。そして思いついた。
「さあ、これを飲んで」
男は女性にワインを飲ませた。
「さあ、これをお食べ」
男は女性に肉を食べさせた。
「あら!左足をどうしたのですか?」
女性は男の左足が、爪先から足首まで、包帯に巻かれているのに気が付いた。
「ああ、ちょっと馬から落ちた時にくじいてな。さあ、これを飲んで」
男は女性にワインを飲ませた。
「さあ、これをお食べ」
男は女性に肉を食べさせた。
「足の具合が悪いのですか?」
ある日、男の足の包帯は、膝下までになっていた。
「ああ、まだ痛みがあってな。さあ、これを飲んで」
男は女性にワインを飲ませた。
「さあ、これをお食べ」
男は女性に肉を食べさせた。そのうち、男が病に倒れた。そして女性は気が付いた。
「足が無いわ!いったい何の病気なの!?」
女性が泣いていると男は言った。
「お願いがある。私が死んだら、私の全部を食べて欲しい」
それを聞いた女性は、男が病気で正気を保てていないのだと思った。だから、ひとまずは男の言葉を受け止め、女性は優しく男に答えた。
「いいですよ」
それを聞いて男は喜んで言った。
「そうか!良かった。ところで……
左足は美味しかったかい?」
おしまい
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