GGO編
百十話 トリック
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のかもしれねぇ。殺すことが生きる事、殺すことがクールな事だと思い込んでるんだろうな」
「そんな……そんな事って……」
「そんな事が起きちまうのが、ある意味今の世界の恐ろしい所かもしんねぇな……ま、それは良いとして……いやまぁ良くはねぇんだが、大事なのはむしろここからでな……」
リョウは一瞬だけ言いにくそうに顔をしかめる。しかしすぐに何かを決めたように、シノンとアイリを交互に見た。
「お前ら、今日家の状態どんなんだ?鍵、掛けてあるか?チェーンは?」
先に答えたのは、シノンだった。
「鍵は掛けてある……けどチェーンは……してない。かも」
「アイリはどうだ?お前確か……」
「う、うん家に家族が居る……普段は」
「……は!?」
「今日親戚の家まで出掛けてて……明日のお昼まで私以外の家族居ないの……鍵はかけてるけど……旧式のキーレス錠だけ……」
「マジかよ……」
あちらの調査能力がどの程度なのかは定かではないが、もしそれを知られている事を考えると……やはり不味いかもしれない。
「くそ……いいか二人とも、初めに言っとくけど落ち着いて聞けよ?」
「「…………」」
リョウに、珍しく真剣な懸念の色を認めて、シノンは息をのむ。アイリは静かな表情で、彼を正面から見ていた。
リョウは一瞬キリトを見、彼が頷いて返すのを見ると、リョウはゆっくりと話しだした
「お前ら二人は、俺やキリトと違って、一回あの野郎に拳銃を向けられてる。つかシノンに至っては撃ってきてる。つまり、準備OKかもしれねぇって事だ」
「準備……」
「それって、なんの……」
シノンの言葉にリョウはそのまま、何一つ態度を変えることも無く、淡々と返した。
「リアルのお前らの部屋で、今この瞬間に、死銃の共犯者が、お前がゲーム内で撃たれるのを待ってるかもしれねぇ。って事だ」
シノンの表情が、一瞬で凍りついた。まるで彼女だけ時間が止まってしまったかのように、そのアバターが動かなくなる。しかしやがてその体が細かく震え始め、見開かれた瞳に居売れるな恐怖の色が宿ると、状況は嫌でも変わる。
「嫌……いや……いやだよ……そんな、そんな……」
うわごとのように同じ言葉を繰り返しだす。
最早それは恐怖と言うよりも拒絶反応だろう。当然だ。アイリは何とか耐えているようだが、普通十六の少女に、ベットの上で完全に無防備な状態をさらしている貴女の隣に殺人が快楽と考える狂人が居るかもしれません。と言うかほぼ間違いなく居ます。等と教えたら、こうなるのは目に見えている。
だからこそ、リョウの反応も速かった。
「落ち着、けっ!!!!」
「ぐっ!?」
シノンの頭を掴み、軽く、しかし勢い付けてパチキを決める。
痛みは無い物の、強めの衝撃がシノンの頭を駆け抜け、アバターから離脱し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ