GGO編
百十話 トリック
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それは、キリトに向けられた物ではない。
「厨二病こじらせるなら余所でやれってんだ……あいっかわらず無駄にはた迷惑な連中だな、ったく……」
不機嫌そうに言ったリョウに、キリトが苦笑しながら肩をすくめる。
「出来ればその“余所”が奴らの頭の中だけなのが一番望ましいな」
「全くだぜ」
再びふんっ、と鼻を鳴らしたリョウと苦笑したままのキリトに、シノンが続けて問う。
「でも……どうやってそんな事……」
その言葉に呼応するように、アイリが呟いた。
「アミュスフィアじゃ、ナーヴギアみたいな電磁波なんて出せないはず……だよね?」
「まぁな……つかそもそも、俺らに調査の依頼した奴の話じゃ今回の被害者、最初の二人は脳の損傷じゃなくて心不全で死んでんだよな……」
「えっ、心臓……?」
リョウの言葉に、シノンがびくりと反応した。
「……そ、それってつまり……何か、呪いみたいな、超能力的な力で殺した……って事……?」
「……ウェ!!?」
ビクっ!?とアイリが恐れるように反応する。と、腕を組んだリョウが片眉を持ち上げ肩をすくめる。
「本の読み過ぎだシノン。んなオカルト殺人が今の世の中にあってたまるか」
「だ、だよね〜……」
アイリが乾いた声で笑いながら身体から力を抜く。と其処にキリトが一言。
「けど実際の手段についてはまだ見当も付かないからな……」
「どっちなのー!?」
またビクビクしだしたアイリに、キリトが困ったように笑った。しかし……
「もう……大体もし相手が誰でも――あれ?」
続けて何かを言おうとしたアイリが、その言葉を中断して人差し指の第二間接辺りを唇に当てた。面白がるようにアイリの様子を見ていたリョウが、首を傾げる。
「どした?」
「え?あ、うん……おかしいな。って」
「おかしい?」
「うん」
コクリと頷くと、アイリは思案顔のまま言う。
「さっき、廃墟でリョウに殴り飛ばされた時さ、死銃は反撃しようとしてリョウにP90を向けたでしょ?でも、それっておかしいと思わない?」
「え?あぁ、そうか……!」
キリトが一瞬考え、しかし即座に納得したように声を上げた。
「あの距離なら、死銃は充分あの拳銃を使える距離だった。左手に拳銃を持って居たならそれを撃った方が早いし、もし当たれば一撃で兄貴を殺せるはずだ」
「成程な。なら拳銃を撃たなきゃおかしい訳だ」
リョウが言うと、アイリが頷き返した。
「うん。実際柱の陰から私の事を撃とうとした時は、拳銃を使おうとしてた。なんであの時死銃はわざわざ持ちかえたのかなって……」
「……たとえば、十字を切らなかったから、とか?黒星……あ、あの銃の名前、五十四式黒星って言
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