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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第三話 初の攻略会議
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をひそめ、すく、と立ち上がった。

「いやはや、スマンスマン。お兄さんのご高説に感心して、ついね」

ーーー絶対ウソだ。

この場の全員が一瞬にして同じ考えを抱いた。

そんなことを知る由もない謎の男は発言を続ける。

「お兄さんの言いたいことは、要するに元テスターによる謝罪と賠償の要求、だろ?」

「そうや、よく分かっとるやないか。なんや、あんたが元テスターなんか?」

眉をつりあげるキバオウに、フードの男はとんでもないと手をあげる。

「いやいや、俺は単なるしがない新規プレイヤーさ。けど、お兄さんの言い分に、ちょいと言いたいことがあってな」

「な、なんや」

「あんた、自分の言ってること、矛盾してるのきづいてるか?」

キバオウのみならず、キリトも、ディアベルでさえ、彼がなにを言い出したのか分からなかった。

「ど、どういうことや」

「要するにさ、あんたはビギナーを放ったらかしにして、なんの手助けもせずに強化に邁進してきた元テスターたちを締め上げたいわけだろ?なら、その対象はあんたも、ここにいるやつら全員も入ってることになってるんだぜ?」

全員が息を飲むのがキリトにもわかった。元テスターでもないプレイヤーさえ、呼吸を忘れただろう。
普通の状況下でなら妄言と切って捨てれる彼の発言は、彼の纏う不気味なオーラがそれをさせてはくれなかった。妙に筋が通った彼の言葉は聴衆が耳を傾けてしまう何かがあった。

「そ、そんなわけあるかいっ!ワイはビギナーを無視して、その無視されたビギナーが死んでった責任を負え言うてるんや!」

「なら訊くが、ここにいる全員、ビギナーを見捨てていないと、ハッキリと言えるのか?」

ここで、キリトは彼が言いたいことに気がついた。確かにそうだ。キバオウのいう論理に従って謝罪と賠償を求めるのならばーーー

「言えないだろう?ここにいるってことは、少なからず一人でもビギナーを見捨てて、見殺しにして、自己強化に邁進してきた最たる証拠じゃねえかよ。なら、あんたの言う『ビギナーを見捨てて自己強化してきたやつら』はここにいる全員のことだぜ?アンタも、俺すらも例外じゃない」

結論に気がついていたキリト以外全員が、あんぐりと口を開いていた。次いで、全員がキバオウから目を逸らす。
彼の言うことが正しいと認めているから、全員がキバオウに賛成しないと、意思表示しているのだ。

しかし、その正論はキバオウの一言で霧散する。

「そ、そんなこと言うて、あんさんが元テスターやから、元テスターを庇っとるんちゃうんか!」

確かに、言われてみれば、客観的に考えてみればそう言われるのは当然である。元テスターじゃないのか、そう疑われるのを見越してキリトは何も言えなかったのだ。


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