第2話「風ニモ負ケズ」
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晴天の笑顔で天気予報をお届けする『お天気お姉さん・結野クリステル』
だがそれは陽の顔にすぎない。
呪法を遣えて天道を読み抜く『陰陽師・結野クリステル』。
それが陰の顔であり、結野アナの真の姿でもあった。
結野アナは古来よりありとあらゆる呪法で魔障や災厄を退けて来た陰陽師一族・結野衆の一人だった。
『結野衆』とは、徳川幕府開闢以来江戸を護り続けてきた幕府おかかえの大家なのだ。
だが偉大な一族ゆえに周囲から妬まれることも多い。
天気予報の不調続きは、彼女の天道を読む力を強力な呪法で抑えつけられ邪魔されていたせいだった。
万事屋を奇襲した鬼の正体は、『式神』と呼ばれる陰陽師が使役する使い魔。万事屋が結野アナに協力するのを阻害する為に誰かが仕向けたのだ。
そんなことができるのは『陰陽師』しかいない。
つまり、結野アナを気に食わず失脚させようとしている陰陽師がこの大江戸のどこかにいるということだ。
敵は化け物を操る陰陽師――あまりに壮大な話で危険な雲行きである。
しかし、銀時が引き下がる事はなかった。
受けた依頼は最後まで引き受ける。それが『万事屋銀ちゃん』のモットーだ!……というのは結野アナの前で銀時が言った言葉。
それはさておいて。
敵がどこにいるのかは実に簡単な話だった。
由緒正しいエリート一族の結野衆で大した才能を持ちながら、お天気お姉さんになり力を遣う。……それは頭の固い権力者たちにとって力の無駄遣いであり、目障りでしかない。
察しがついた万事屋は、敵の本拠地―『結野衆』の屋敷に殴りこみをかけた。
門を蹴破り敷地に侵入した銀時達を出迎えたのは、案の定鬼の形相をした数体の式神。
巨大な鬼たちを前にして、新八は真っ先に青ざめた。どう考えても敵うはずがない。
「銀さんんんヤバいです!殺されます確実に!!ここは一旦作戦練り直して出直しましょう」
「なに怖気づいてんだ。心配いらねーよ」
そう言って銀時は、懐から五芒星が描かれた人型の折り紙を得意げに取り出した。
「それはまさか…!!」
「結野アナから護身用に預かった式神だ。この五芒星に血判を押し契約を交わせば、俺にも式神が使える」
「本当ですか!?」
一転して期待を膨らませる新八。
銀時は親指の腹を噛み切って、勢いよく血を五芒星に押しつけた。
「いでよォォォ、式神ィィィ!!」
“ピンポーン”
電子的呼び鈴―つまりインターフォンが折り紙から鳴り響いた。
「………」
とんでもなく巨大な鬼か、翼が激しく燃える鳥人か、あるいは猫耳生やした美少女が眩い光の中から参上する……かと思ったが何も起こらない。
ただ変な沈黙が流れるのみ。
「オイ何やってんだ」
「あ、スンマセン。ちょっと…ちょ
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