第2話「風ニモ負ケズ」
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歪ませる銀時は、ゆっくりと新八達に振り返った。
「あのォ、誰か…俺と主変わんない?」
銀時の誘いに新八と神楽は身体ごと目線を反らす。それが彼らの答えだった。
「双葉今すぐチェンジだァ!」
妹にバトンタッチしようとしたが、彼女もまた銀時に背中を向けて黙りこくっている。
「………」
「ねェちょっと恐いんですけど!あの娘なんか恐いんですけど!!」
「……式神は血印と繋がった主に従うんだろ」
いつもより低い声の、やや乱暴な口調で呟く双葉。
「だったらいいじゃねーか。俺ら兄妹だし血繋がってっから」
「私の兄者はとっくの昔に殉職したそうだ。お主など知らん」
「おいィィィ!なにさっきのネタむしり返してんだ。あんなの冗談に決まってんだろーが。お前ら腹黒同士スゲーピッタリだよ。人生で会えるかわかんねぇベストパートナーに絶対なれるよ」
「兄者が女から受けた依頼だろ。だったら最後まで引き受けろ」
顔だけぐるりと振り向く双葉。その不機嫌に満ちた眼に、銀時はぎょっと後ずさる。
「おめー何怒ってんの?なんで今にもブチ切れそうな顔してんだ?」
双葉は何も言わずそっぽを向いてしまう。
訳が分からない銀時はただ首を傾げるばかりだった。
【外道丸よ。お主ここに何をしに参った】
いきなり渋い声が聞こえた。
驚いて振り向くと、正門の前に何十人の陰陽師たちが鋭い目つきでこちらを威嚇していた。おそらく 結野衆の幹部たちが侵入者を成敗しに来たのだろう。
【結野衆に仕える身でありながら、その式神を破り無断で屋敷に押し入るとは何様か】
男たちの口は動いていないのに、彼らの声が頭の中に入ってくる。この怪奇現象も陰陽術なんだろうか。
「今のあっしはクリステル様ではなく、この男の僕でござんす。主が何をするかはあっしの知る所じゃございやせん」
結野衆の威嚇に臆せず淡々と言う外道丸だが、その度胸はさらに状況を悪化させるだけであった。
【何者だ、貴様ら。この結野の聖地に土足で踏み入り無事で帰れると思うなァ!】
こちらの話も聞かず結野衆は呪文を唱え始める。彼らが手にするお札は青白い光をまとい、一斉に銀時たちへと放たれた。
逃げようとした銀時だが、即座に新八と神楽に盾にされてしまい動けなくなってしまう。慌てて外道丸を探すが見つからない。おまけに双葉の姿もない。
ふと足元に妙な違和感。
着物をめくってみると――中には外道丸がしゃがんでいた。隣にはちゃっかり双葉も座っていたりする。
「なんでテメーら股の下に隠れてんだァァァ!?」
“ドッカァァァァァァァァァァァァン!!”
無数のお札が容赦なく銀時達のもとで爆発した。
=つづく=?
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