第2話「風ニモ負ケズ」
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入る遺影が使役心を妨げる。
お葬式の最中に呼び出してしまったのか。というよりあの折り紙の中にどんな事態が起こったのか。いや、そもそもさっきのせいで母親を死なせてしまったのか。
ありとあらゆる疑問と罪悪感に悩まされていると、少女が何か気づいたように口を開いた。
「おっかさんのことはどうか気に病まず。……あっしは気にしてませんから」
潤んだ瞳で俯いて少女は言う。
「いやものすごい使いづらいんですけど。心ココにあらずだもの。完全にお母さんのことひきずってるもの……ってちょっと待て!気に病まずって何?え?俺が悪いカンジになってんの!?」
自身を指差す銀時に、少女は首を振って答えた。
「大丈夫でござんす。たとえ親の仇であろうと、主に従うのが式神の務めでござんすから」
「人聞きの悪いこと言わないで!仇じゃないからね!俺何にもしてないからね!!やらせたのコイツだからね!」
そう喚く銀時に指差される事件の黒幕は、淡々と事実を告げる。
「押したのは兄者の指だ。土下座して謝れよ、兄者」
「お前だァァァ!お前が謝れ!お前がこの子に土下座して謝れェ!!」
耳元で怒鳴られても素知らぬ顔で立つ双葉を睨みつける銀時。
険悪ムード真っただ中の兄妹の間に入るように、式神の少女が口を挟む。
「あの、本当に大丈夫でござんすから。さぁ思う存分こき使っておくんなせ」
そうして少女は悲しげな笑みを浮かべて、母親の遺影に向かってこう呟く。
「…おっかさん…今スグあっしもいくからね」
「使えるかァァァ!!」
「え?何か気に食わないでござんすか」
きょとんとした目で聞き返してくる少女に、銀時の胸がギュッと締めつけられる。
式神は主に従うだけの存在。
だがこんなに可憐で純情な瞳をした少女を戦わせるなんて無理だ。しかも母親を喪に服した原因は少なからず自分にもあるわけで……。
非常に使いにくい。
また遺影を大切に抱く少女に敵の鬼たちも戦い辛いようである。
しかし彼らにも主から受けた命を果たす義務がある。無論、このまま引き下がるわけにもいかない。
鬼の一人が申し訳なさそうな表情をしながら少女に近寄る。
「一旦置いておこうか。戦う時ぐらいは置いてもいいだろ」
「でもおっかさんを地べたに捨て置くなんてできないでござんす」
「じゃあ一旦あずかろう。ちゃんとした所にたてまつっておくから」
「申し訳ないでござんす。おっかさんをよろしくお願いします」
少女は深々と一礼しながら母親の遺影を鬼に差し出して――
「ハラがガラあきじゃああああああああああああああああああッ!!」
背負っていた巨大な金棒を振り回し、目の前の鬼を真っ二つに引き裂いた。
刹那の攻撃に仲間を殺られた鬼達は、怒涛に身を染めて少女に襲いかかる
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