第2話「風ニモ負ケズ」
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が折り紙から聞こえてきた。
【あの子だっていつまでも子供じゃないのよ】
【るせぇ!アイツはな、『大きくなったらお父さんのお嫁さんになる』って言ってたんだぞ】
【いつの話してんのよ。お父さんがお風呂入った後、あの子お湯全部捨ててんのよ。嫌われてることぐらい気づきなさいよ】
【だからってなァ。中崎だけは絶対に認めん!おい中崎ィそこで待ってろ!!】
【アンタァァ!そんなもん持ってどこいくのォォ!!】
【オメーは黙ってろ。今中崎の野郎と決着つけにいってやらァ】
【やめなァァ警察沙汰になるよ】
【離せ!邪魔すんじゃねェ!】
【ダメだっていってんでしょ。落ちつ――】
“グサッ”
折り紙の中から生々しい音がもれた。
【……。オ…オイ。…節子…節子ォォォォォォォォ!!】
それを最後に、銀時たちは再び静寂に包まれた。
「オイぃぃぃ!何があったァァ!!何勝手にドラマチックになってんだァァァ!!」
「刺さったアル。刃物持ってもみ合ううちに、謝ってお母さん刺してしまったアル」
「あーあ、殺ってしまったな兄者」
誰もが慌てふためく中、いつも通り冷めた眼で双葉が呟く。
「オメーがピンポンダッシュすっからだろうがァァ!」
「押したのは兄者だろ」
「テメーが押させたんだろうがァ!俺何も悪くねーぞ」
「オイ何やってんだァァァ!!」
兄妹の言い合いに割りこんできたのは、血相を変えて声を荒げる鬼だった。
「もたもたしてないで早く呼び出して手当してやれェ!手遅れになるぞ!」
「いやでもあっちで手当てしてるかもしれねーし、そっとしといた方が…」
「いいから急げェェ!」
敵であるはずなのに、鬼は自分たちのことのように心配した声を上げる。
すぐさま銀時は式神を呼び出そうとしたが、怒涛の展開にパニクってしまい、思うように指が動かない。
「早くしろ、兄者」
「うううるせぇ!頼む誰か出てくれェ!!」
“ピンポーン”
【ハイ……式神ですけど】
「そっち今ヤベー事になってるだろ!今スグ出てこいお母さん連れて出てこい!!」
【わかりやした】
次の瞬間、折り紙は火のない爆発を起こし、土煙を立ち上げる。
やっと式神を呼び出せた、と銀時は胸を撫で下ろした。
そして煙の中からおかっぱ頭に角を二本生やした、小柄な黒い和服少女が登場した。
「お待たせしましたでござんす。ただいま参上つかまつりやした」
母親の遺影を両手に掲げて。
((もっ…喪に服してるぅぅぅぅぅ!!))
銀時達は遺影に言葉を失う。絶句する彼等に少女は丁寧にお辞儀をしてきた。
「クリステル様から話は伺っているでござんす。血の契約により、これよりあっしは銀時様が僕。お好きに使っておくんなせ」
少女の姿をかたどった式神は言うが、嫌でも目に
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