空白期 中学編 27 「とある騎士の想い」
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よ!
アイゼンを下方から一気に振り抜くと、漆黒の長剣と激突し火花と轟音を撒き散らす。あちらの剣は片手用にしては重たいが、こっちのアイゼンだってハンマー型のデバイスだ。それにこっちは両手で振ってんだから押し負けるようなことはねぇ。
その証拠にあたしはアイゼンを完全に振り抜くことに成功し、ファラを空高く打ち上げた。
剣が無くなれば近接戦闘はこちらが有利になる。この隙を逃すつもりはねぇ、と思いながら素早く体勢を整えアイゼンを再度振る――
「なっ……!?」
――その直前、ショウは回避行動ではなく腰を落として距離を測るように右手を前に出していた。腰あたりに据えられた左手には魔力が集約されている。
やべっ、誘い込まれた。
冷静に考えれば、先ほどくらいの衝突でファラを弾き飛ばせるわけがない。ショウがわざと弾き飛ばされたように振る舞ったのだ。追撃を行うであろうあたしに攻撃を行うために。
「せあ!」
気合の声と共に漆黒の突きがあたしの胴体目掛けて放たれる。アルフやザフィーラといった格闘を行う人物から訓練を受けていただけに付け焼刃の一撃じゃない。
回避やアイゼンを使った防御は間に合わない。そのためあたしは反射的に胴付近に防御魔法を展開する。間一髪のタイミングで割り込ませることに成功したが、スピードを優先したため強度が低くヒビが入ってしまう。
ショウは元から今の一撃が決まるとは思っていなかったのか、素早く回転すると3連続の蹴りを放ってきた。2撃目で防御魔法が壊れてしまい、懐ががら空きになる。そこに3撃目が見事にヒットし、あたしは後方に吹き飛ばされた。
「こ……のやろう!」
思いっきり蹴り入れやがって、と文句を言う暇はなかった。落下してきたファラを掴んだショウがすでに追撃を仕掛けてきていたからだ。
刀身に纏っていた漆黒の魔力が弾けて灼熱の炎と化す。確か体術と剣術の合わせ技《メテオフォール》だったか。即座にあたしはアイゼンを両手で持って受け止める。
「――ちっ」
思わず舌打ちが出るほど馬鹿げた重さを感じさせる一撃だ。片手でこの重さだとすれば、両手で振ればいったいどれほどのものになるのだろうか。
いや、今はそんなことを考えている場合じゃねぇ。
あたしはあえて受けきることをやめ、体を回転させながら徐々に受け流す。この場から通り過ぎようとするショウに、先ほどのお返しと言わんばかりに背中目掛けてアイゼンを振った。だがショウは即座に地面を蹴って空中で前回転すると、アイゼンの一撃をファラで受け止めやがった。
「け……今のくらい喰らっとけよな」
「お前の一撃は重いんだ。そう易々ともらうわけにはいかないだろ」
一撃の重さを評価してもらえるというのは嬉しいことではあるが、直撃をもらってくれな
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