第二百八話 小田原開城その七
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「あの者は関東に入れぬ」
「そして攻めて来れば」
「その時は」
「破りそうしてじゃ」90
そのうえでというのだ。
「あの家も降す」
「そうされますな」
「伊達も」
「あの者も欲しい」
政宗もというのだ。
「そうなってきたわ」
「おお、またですか」
「また殿の欲張りが出ましたな」
「今度は伊達政宗が欲しい」
「その家臣達も」
「ははは、やはりわしは欲深い」
自分でも笑って言う信長だった。
「だからな」
「あの御仁も」
「そうなりますか」
「そうじゃ、それではな」
「奥州に」
「行きましょうぞ」
家臣達も応えてだった。
織田軍は少し休みすぐにだった、江戸から奥州に向かうことになった。彼等の戦はまだ続くこととなった。
そうして信長はすぐに佐竹と伊達の領地に向かう、だが。
その彼と共にいながらだ、松永は己の家臣達に飄々と笑ってこう言ったのだった。
「これは面白い」
「まさかこうまでとは」
「本願寺、毛利を降しです」
「東国もです」
「瞬く間にです」
「降すとは」
言うのはこのことだった、家臣達が応えて。
「思いませんでした」
「いや、織田信長かなり」
「かなりのものです」
「我等が思っていたよりもです」
「やります」
「これで関東は完全に織田のものになり」
「そして」
これからの信長のこともだ、彼等は話した。
「今度は伊達ですか」
「奥州にも楔を打ちますか」
「そして伊達も家臣とする」
「色のある者達を」
「これで色のある家で残るは島津だけ」
「あと一家だけです」
彼等の中で話をしている、それでだった。
この話は織田家の他の者達には一切聞こえていない、それで彼等は周りに聞かれない様に気をつけながらも話すのだった。兵達とも離れていても。
「そこまで進めております」
「このままでは危ういですぞ、殿」
ここで松永に言うのだった。
「織田家が天下を一つにしますぞ」
「最早残るは奥羽と九州」
「それも兵を動かせば平定するのは間違いありませぬ」
「もう時です」
「時jかと」
「いやいや、まだじゃ」
やはり笑って言う松永だった。
「それはまだじゃ」
「またそう仰いますが」
「それでもですか」
「動かれぬのですか」
「謀叛を起こされぬ」
「そうされぬですか」
「この度に及んで」
こう言って不機嫌な顔を見せるがその見せられている松永だけは飄々としている。それでさらに言うのだった。
「だからまだじゃ」
「では何時ですか」
「何時動かれるのですか」
「このままではです」
「ご老がです」
「もう」
「怒られるか」
彼等の話を先にだ、松永は答えた。
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