第四十八話 薊の師その八
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「一人じゃないしな」
「うむ、一人で向かうとな」
「やっぱり限度があるよな」
「一人は気楽じゃが辛いことも多い」
これは王の人生哲学だった、人間生きているとその人それぞれの人生哲学が形成されていくが彼もまた然りなのだ。
「多くおるとな、煩わしい時もあるが」
「お互い頼りになるってな」
「わしは薊ちゃんに言ったことがあったな」
「覚えてるぜ」
よく、とだ。薊は王に明るい笑顔で返した。
「そのことは」
「左様じゃな」
「とにかくだよな」
「うむ、今の薊ちゃん達は過酷な戦いに向かっておる」
「それがいいことか」
「その強さを備えてくれて何よりじゃ」
王が喜んでいるのはこのことだった。
「その強さなら大丈夫じゃ」
「そうありたいな」
「うむ、ではな」
「ああ、さっき話してたな」
「お茶とお菓子じゃ」
これまでは立ち話だったがそれを、というのだ。
「それを食べるとしよう」
「月餅いいですよね」
月餅についてだ、裕香が王にいささかしみじみとした口調で話した。
「美味しくて」
「ほう、お嬢ちゃんも月餅は好きか」
「神戸でよく食べています」
神戸にも中華街があるのでそこで売っているのだ、もっとも今ではスーパーでも普通に売られていたりする。
「寮でも」
「薊ちゃんと一緒に住んでおる場所でじゃな」
「はい、よく食べます」
「そうか、しかし横浜の月餅はな」
「神戸のものとはですね」
「また違う味じゃ」
「じゃあそちらも楽しませてもらいます」
裕香は王ににこりと笑って答えてだった、薊達と共にその月餅をご馳走になった。場所は道場の中の休憩室でそこでだった。
その月餅を食べてだ、目を細めさせてこう言った。
「あっ、本当に」
「美味いじゃろ」
「はい、神戸のと横浜のとでまた味が違うことが」
「わかったのう」
「関西都関東で違うんですね」
「そうそう、月餅だってな」
薊もその月餅を食べつつ裕香に言う。
「関東と関西じゃな」
「味が違うのね」
「それうどんとかだけじゃないんだよ」
こうした菓子類、しかも中華系のものもというのだ。
「こうした風なんだよ」
「そうなのね」
「だから横浜とか横須賀の中華料理もな」
そちらもというのだ。
「また味が違うんだよ」
「あっちのとは」
「というか関西ってな」
薊は関西自体のことを話した。
「それぞれの場所の味あるよな」
「神戸は神戸で」
「大阪は大阪、京都は京都でさ」
「そうね、この前の旅行でそれがわかったわ」
「大阪は濃くてな」
所謂コテコテだ、このことはお好み焼きで特に顕著だ。
「それで京都は薄いな」
「味がないって思える位に」
「それで食った後徐々にな」
「風味が漂ってくるのよね」
「そ
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