14部分:第十四章
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第十四章
次の日も蚊帳の中に入った。もう何が来てもさして驚かない。危害も加えられるわけでもないとわかっているので悠然としていた。
「落ち着くのう」
彼はゆったりとしていたがそれでも化け物か怪異がやって来るのを待っていた。
今夜は何が来るか、それを考えていた。
「昨日の婆は中々面白かったが」
だが続けて来るとは思えない。
「では何か」
しかしそれはわからない。とりあえず化け物が来るまでわからないのであった。
待っていると不意に天井が下がってきた。ゆっくりと下がって来る。
「むっ」
それは蚊帳に迫って来た。そしてそのまま蚊帳をすり抜けてきた。
「またか。よくすり抜ける蚊帳じゃのう」
思わず苦笑した。これで傷一つないのだから実に優れた蚊帳である。
蚊帳は尚も下がってくる。そして平太郎の鼻先まで来た。
「わしまですり抜けるかのう」
そう思っていると本当にすり抜けた。そして彼は天井の裏を見ることになった。
「ふむ」
横を見れば行灯もすり抜けている。潰されもしていない。
「これまた妙なことじゃのう」
何と天井裏を見ることができた。見ればゴミだらけだ。
「ううむ」
平太郎はそれを見て反省の念にかられた。
鼠の糞や蜘蛛の巣の古いの等がある。その他にも色々とある。かなり汚い。
「そういえば天井裏は今まで全く掃除もしていなかったのう」
そのあまりの汚さに辟易してしまった。
「また頃合いを見て掃除をしておくか」
彼は綺麗好きである。やはり家は汚いのより綺麗なのがいいに決まっている。あらためて反省した。
だが反省はしたが他には何もしなかった。どうも天井裏から何か出て来るわけでもないようだ。
「これだけかのう」
そう思っていると天井は上に上がりだした。そしてすぐに元の高さに戻った。
「終わりか」
だがそれで終わりではなかった。今度は天井に大きな蜂の巣が姿を現わした。
「蚊帳は効くかのう」
中から出て来るであろう蜂だけが気懸りであった。だが蜂は出ては来なかった。
そのかわりにそれぞれの穴から泡や黄色い腐った様な水を出してきた。そしてそれを平太郎の左右に落としてくる。
「蜂ではないのか」
それでは心配する必要もない。平太郎はそれが落ちるのを悠々と眺めているだけであった。
やがて蜂の巣は次第に小さくなっていった。そして消えていった。
「終わりか」
それでその日は終わりだった。もっとも平太郎自身は蜂の巣が消えるのを見届けるとすぐに眠りについていた。
二十日は飲んでいた。丁度親しい者から祝いの酒をもらったのだ。
それもかなりあった。樽一つである。酒好きな平太郎の喜びは如何程のものがあろうか。
「これはいい祝い物じゃ」
彼は大喜びで飲んでいた。しかも
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