空白期 中学編 26 「深夜の贈り物」
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という意味合いで、はやてはそこに女の意地を掛けた勝負のような感情が混じってきたりするのだが、まあそこは置いておくことにする。それにしても
「別にこんな時間に渡さなくてもよかったんじゃないか?」
「あなたは毎年のように他の方からもチョコをもらいますからね。誰よりも先に渡しておきたかったんです」
「え……」
ま、待て……それはつまり…………そういうことなのか?
と思った矢先、シュテルが口元が緩む。それを隠すように手を当てながら彼女は話し始める。
「ふふ、冗談ですよ。本気にしないでください」
「――っ、お前な……いや、お前相手に勘違いした俺が悪いか」
「その言い方は何だか癪に触りますね。ちなみに何故このような時間に渡そうとしたのかというと、実は今日1日予定が入ってましてこの時間じゃないと渡せそうになかったからです」
「あのな……だったら後日でもいいだろ」
今からあっちに戻って朝から仕事だとすると相当ハードな1日になるぞ。お前はいつからそんなにバカになったんだ。
「後日ではいけません。バレンタインにチョコを渡さなければ、ホワイトデーにお返しがもらえないではないですか」
「いやいや、14日以降に渡されたとしてもバレンタインのチョコだって言えばお返しはやるから。ホワイトデー前日とかだとさすがに保障できないというか、バレンタインのチョコじゃないだろって話になるが」
「そんな話は聞いていません。私の睡眠時間を返してください」
聞かれてもないし、別に初めてのバレンタインでもないんだから言わなくても分かるだろ。俺に八つ当たりをするな。というか、状況的に俺が八つ当たりする立場だろ。睡眠時間を奪われたのは俺のほうなんだから。
そのような感じに言い返そうとした瞬間、シュテルの顔はどこか曇っているように見えた。笑っているようにも見えるのだが、感じれるものは寂しさのようなものに近い。
「シュテル?」
「……いえ何でもありません。ただ……最近ふと思うんですよ。私もディアーチェのような選択をしていたなら……あなたやなのは達と楽しい時間を今以上に過ごせていたんじゃないかと。ひとりで何かを黙々とするのは好きでしたし、得意だと思っていたのですが」
いつからこんな風になってしまったんでしょうね。
そんな風に感じ取れる表情をシュテルは俺に向けてきた。いったい俺はどのような反応をすればいいのだろう。
シュテルの知能からすれば学校に編入することは充分に可能だろう。だがシュテルは技術者として何年も前から本格的に仕事をしている。仕事量を考えると学校に通うには厳しいのが現実だ。
お前の人生なんだからお前の好きなように生きればいい。そう言えれば楽だ。けれどシュテルはすでに一人前として扱われ、彼女も途中で投げ出すような性格は
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