第11話
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のほうが難しく、荀ケからした袁紹の欠点は『男』くらいである。
もし仮に今の袁紹が女だったらどうか、きっとすぐに仕官していたであろう。下手をすれば初日の挨拶で心酔していたかもしれない。
「でも、……私は」
仕えたいと口にするのが怖い、それはまるで男嫌いだった今までの自分を否定するかのようで
挨拶の時の言動を含め、中途半端な気持ちで仕える訳にはいかない、それなら、それならいっそ
………
……
…
「『男嫌い』であった自分を否定するのが」
「っ!?」
袁紹の言葉に目を見開く、またもや核心を突かれ思わず彼を凝視する。
初日に核心を突いた時の彼の目は、鷹のように鋭くこちらを観察していたのだが今はどうか―――
目は細められているが鋭さは無い、むしろ父親が愛娘を見守るような慈愛に溢れた眼差しをしていた。
「!!……」
そんな眼差しに対してばつが悪くなった荀ケは、視線から逃れるように再び頭を下げる。
そうでもしなければ気持ちが溢れそうだ。
「フハハハハハ!お主はそこまで我につむじを見せたいのか?いや、被り物で見えぬがな」
「っ!?し、失礼しました!」
袁紹のおどけた発言に張り詰めた空気は弛緩し、荀ケは気持ちが少し軽くなるのを感じた。
「荀ケ、我は過去では無く今の本心が聞きたい」
「今の……私の……」
「荀文若は袁本初に仕えたいのか?仕えたくないのか?」
「わ、私は……」
まっすぐ荀ケの目を見つめる袁紹、何故だかその瞳の前ではどのような嘘も看破されてしまう予感がした。
「仕え……たいです」
そして気が付くと本心を口にしてしまい慌てて発言する。
「し、しかし私は今まで多大な無礼を犯してしまいました!!」
「荀ケ――」
袁紹は玉座から立ち上がり静かに歩み寄る。
「人間は大小の差はあれど過ちを繰り返す生き物だ、大事なのはそれを言い訳にして立ち止まらず、糧にして前に進むことよ」
「……」
そして荀ケの前まで来た袁紹はさらに言葉を続ける。
「それに、我にとっては手のかかる猫のようなものであったぞ!!フハハハハハ」
「お、お戯れを」
いつの間にか差し出された袁紹の手をとり立ち上がる。自分から男性に触れるのはいつぶりだろうか、
もしかしたら初めてかもしれない。
「本当に私は……仕えてもよろしいのですか?」
「くどい!もとよりお主ほど有能な者を今更手放す気など毛頭ないわ!!」
その言葉に荀ケの迷いは完全に消え去り一歩さがる。
「―――私の名は荀ケ、真名を桂花、今この時より袁紹様を生涯の主とし仕える事を誓います」
そして改めて臣下の礼をとった。
「うむ、我が真
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