暁 〜小説投稿サイト〜
幻想郷縁起・封
妖魔夜行
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[1] 最後
 ルーミアは、夜の闇を彷徨っていた。
 月の光が地上を照らし、妖しい輝きは彼女の力を高める。

 −−宵闇の妖怪。

 それが彼女の属する種族。人の闇を糧に生きる、人食い妖怪。
 彼女が生まれて、もう何千年が経っただろう。
 彼女は、人が闇を恐れた時、生み出された存在。
 人が闇を恐れる限り、彼女が死す事は無い。

 だが、それ程までの永い刻を過ごしながら、しかし彼女は幼かった。
 その幼さ故に、彼女は過ちを犯す事となる。

 人と妖怪は相容れ無い。
 妖怪と人は相容れ無い。

 当たり前だ。
 当たり前の事だ。

 −−これは、そんな当たり前の事を思い知らされた、孤独な妖怪のお話。









 ◇◇◇◇◇◇











 ルーミアには、親しい人間が居た。

 小さな娘だった。人里に住む貧しい一家の一人娘で、
 偶然捕食を終えたばかりで腹の膨れていたルーミアの前に現れた時から、その付き合いは始まったのだ。

 名を、御風千夏と言う。

 千夏は、ルーミアが妖怪である事を知っても、彼女を拒絶しなかった。
 ずっと誰とも関わる事がなく、孤独であったルーミアは、それが心の底から嬉しかったのだ。

 だから、彼女だけは食べなかった。
 幼い子供のように、かくれんぼや鬼ごっこなどもした。

 とても、幸せだった。


「ねぇ、千夏ちゃん」

「なあに?ルーミアちゃん」


 ふと、ルーミアは疑問に思った。
 自分のような妖怪と遊んでいて、千夏は大丈夫なのだろうか。
 周りの大人達に、責められてはいないだろうか。

 そんな事を、ルーミアは尋ねた。

「−−ううん、大丈夫。ルーミアちゃんは人を襲ったりしないって、信じてるもん」

 そんな、自分を信じてくれた千夏の言葉に、ルーミアはまた心から幸せな気分になる。
 千夏は、間違いなく親友だ。
 誰が何と言おうと、千夏だけは守ってみせる。



 その夜の事だった。

 突如、目の前にその妖怪が現れたのは。

「何の用よ」

「つれないわねぇ、昔からの縁じゃないの」

 スキマ妖怪−−八雲紫は、胡散臭い笑みを浮かべて笑った。

「妖怪と人間が仲良く、ねぇ。貴女、本気でやってるの?」

「本気って何よ。私があの子と偽りの気持ちで接してるって言うの?」

「そうは言ってないわよ。けど、貴女仮にも古参妖怪でしょう?その末路がどういう物かは知っている筈よ」

「私は、そんな事にはならないわ」

「あら、そう。でも一応昔の馴染みとして、警告しておくわ」

 紫は、それまでの不気味な笑みから、厳しい顔つきに変えると、低い声音でルー
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