妖魔夜行
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ミアに語り掛けた。
「人間と深く関わるのは止めなさい。妖怪と人間との間の溝は貴女が思う以上に深い、歪みはいつか必ず来る。
必要以上に悲しむ前に、身を引いておくのが最善よ」
「−−」
押し黙ってしまう。
正論なのだ。
妖怪は、人間に害を与える存在。害を与えなければ生きられない存在。
それが妖怪。
人間と友好関係を築くなど、無謀だ。かつてそれを実行しようとした人間が居たが、その人間も裏切り者として封印されてしまった。
不可能なのだ。
そんな事は分かっている。
だけど−−
「私は、諦めないわよ」
ハッキリと、告げた。
紫は、大きな溜息を吐く。
次いで、『好きになさい。後悔しても知らないわよ』などと言い残し、スキマに消えていった。
今まで無理だったのならば。
実現不可能だったならば。
私が−−
−−−−けれど。
『その時』は訪れてしまった。
きっかけは唯の気まぐれだった。
その日、『偶々』遊び足りなくて、『偶々』それを思いつき、『偶々』実行したに過ぎないのだ。
千春が人里へと帰り、ルーミアも住処へ帰ろうとする。
けれど、何か遊び足りない。
−−そうだ、こっそり会いに行けば大丈夫かな?
それ自体は、何の問題もなく成功した。
けれど。
問題は、そんな所ではなかった。
『このっ!ガキッ??人間の恥晒しが!」
『妖怪なんぞと仲良くしやがって!俺達が巻き込まれたらどうしてくれる!』
『うっ……が……あ……』
大人の声が、二つ。そして、千春の声。
ルーミアは、すぐに駆け付けた。
大の大人2人が、子供相手に暴行を加えていたのだ。
さらに元々、千春は体が小さい。
抗う事もできず、千春は地面に這い蹲り、ただ蹴られ続けていた。
フツフツと、怒りが沸いてくる。
−−何をしている、下衆な人間が。千春から離れろ、その足を退かせ、待っていて千春、今すぐこの人間を殺してあげるから……
ルーミアはすぐに、片方の男の頭を喰らった。
バキリッ、ボキッ、グチャッ、ゴチュッ、ブチュッ、ベキャッ
肩から下に掛けて少しずつ喰らっていく。
肘、手、肩、腹、腰、脚。
順に、骨ごとその肉を喰らっていく。
一噛みする毎に、血がどくどくと溢れ出る。
路地裏の大地を、真っ赤な鮮血が満たした。
それを見た片方は腰を抜かし、逃げようとしても逃げられないでいた。
「ひっ……ひいっ!や、止めっ、助け−−」
喰らう。
血の噴水を撒き散らし、肉片一つ残さず、ルーミアはその小汚い男を喰らった。
−−
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